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【慢性腎臓病】透析患者にならないために心掛けたい、たった5つのポイント

【慢性腎臓病】透析患者にならないために心掛けたい、たった5つのポイント

「血糖値や血圧、肝機能値などは気にするけれど、腎臓のことはあまり気にしたことがない」人は多いのではないでしょうか。実は、腎臓病、なかでも腎臓の機能が落ちて十分に役割が果たせなくなる腎不全の患者さんは、近年、世界中で増加。日本も例外ではありません。【解説】川嶋朗(東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長)


解説者のプロフィール

川嶋 朗
1983年、北海道大学医学部卒業。東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門准教授などを経て現職。日本腎臓学会学術評議員、日本東方医学会理事、日本抗加齢医学会評議員、日本統合医療学会理事。

透析療法になる前に 病気の進行を止めたい!

「血糖値や血圧、肝機能値などは気にするけれど、腎臓のことはあまり気にしたことがない」という人は多いのではないでしょうか。
 実は、腎臓病、なかでも腎臓の機能が落ちて十分に役割が果たせなくなる腎不全の患者さんは、近年、世界中で増加。日本も例外ではありません。
 腎不全が末期になると、腎臓移植、もしくは透析療法しか治療手段がなくなります。
 腎臓移植は限られた人しか受けられないため、多くの人は透析療法を受けています。

 その透析患者さんが、日本ではずっと右肩上がりに増え続けています。
 2010年の統計では、新たな透析患者は3万7532人、亡くなった人は2万8423人です。国内の透析患者の総計は29万7126人で、30万人に手が届く勢いとなっています(日本透析医学会の資料より)。

 透析療法は、簡単に言うと、体外に出した血液を人工腎臓と呼ばれる装置でろ過し、体に戻す治療法です(他に自分の腹膜を利用する方法もあります)。
 腎臓は、血液をろ過して老廃物をこし採り、尿を作っています。そのろ過作用を、機械で代用するのが透析療法。もし透析を行わなければ、重い腎不全の患者さんは、有害物が全身を巡る尿毒症となって、たちまち生命の危険にさらされます。
 透析療法は、重い腎不全の患者さんを救うことができる素晴らしい医療です。しかし、そうなる前に病気の進行を食い止められたら、そのほうがはるかに望ましいのは言うまでもありません。

慢性透析患者数の推移

透析予備軍は 成人の8人に1人

週3回、1回4〜5時間の透析療法は時間的制約が大きい!

 現在、大部分の人が受けている通院による透析療法(血液透析)では、週に3回、1回4〜5時間ベッドに横たわって治療を受ける必要があります。
 この時間的制約に耐えて治療を続けても、心臓血管系の合併症を起こす患者さんが多いのです(後述)。それをはじめとするさまざまな原因で、毎年2万5000人以上の透析患者さんが亡くなっています。
 これらに加え、透析療法にかかる費用も、大きな社会問題となっています。透析療法には、1人当たり月40万円、年間約500万円の費用がかかります。患者さんの自己負担額は、多くの人がゼロで、高収入の人で月1万円、治療に通う交通費も大幅に補助されています。

 これらの費用を、約30万人分(約1・4兆円)、私たちの社会は負担しているのです。透析療法を受ける可能性のある人のためはもちろん、社会のためにも、今後はできるだけ透析患者さんを増やさない努力が必要です。
 これは世界的な傾向であるため、注意を喚起する目的で、進行すると腎不全にいたる慢性の腎臓病を総称して、慢性腎臓病(CKD=「慢性の腎臓の病気」を意味するChronic Kidney Diseaseの頭文字)と呼ぶことが提唱され、ここ数年で浸透してきました。
 慢性腎臓病の定義は、もととなる病気にかかわらず、次の条件を満たしている場合です。

①尿検査やその他の検査で、明らかに腎障害が認められる(特に尿たんぱくが陽性)。
②腎臓の働きを示すeGFR(推算糸球体ろ過量)が60未満。
 ①②のいずれか、または両方が3ヵ月以上続いている。
 具体的には、個別の病名でいうと、主に次のようなものが含まれます。

●糖尿病性腎症=糖尿病によって、血液をろ過する腎臓の糸球体が障害されるもの。昨年、新規透析導入患者さんの43・5%は糖尿病性腎症で、近年、連続して原因の第1位を占めています。
●慢性糸球体腎炎=免疫の病気や細菌感染などによって糸球体に炎症が起こるもので、日本人に多いのがIgA腎症。
●腎硬化症=高血圧が長く続き、糸球体やその先の毛細血管の動脈硬化が進むもの。
「透析予備軍」ともいえる慢性腎臓病の患者さんは、現在、日本に1330万人、およそ成人8人に1人の割合でいると推定されています。

 上に挙げた病気の原因を見てもわかるとおり、慢性腎臓病には、糖尿病・高血圧・動脈硬化を招く脂質異常症(高脂血症)といった生活習慣病も深く関係しています。
 そこで、腎機能の衰えが見られる場合には、悪化を防ぐための基準を決めて、多角的な予防に取り組むことも行われています。

慢性腎臓病になる危険性が高い人

腎臓病と高血圧は互いに悪化させる

 このように、慢性腎臓病はいくつかの病気が原因や引き金となって起こりますが、逆に慢性腎臓病から引き起こされる病気もあります。主なものを挙げてみましょう。

・高血圧

 腎臓は、余分な水分と塩分の排泄を通じて血圧を調整しています。慢性腎臓病になると、その働きが衰えてきます。
 また、腎臓では、血圧を上昇させる「レニン─アンジオテンシン系」というホルモンを分泌しています。健康なときは、必要に応じて行われるこのホルモン分泌が、慢性腎臓病になると亢進するため、それによっても高血圧が引き起こされます。
 挙げたとおり、高血圧は腎臓病を悪化させるので、両者は互いに悪化させて悪循環に陥ります。

・心血管疾患

 悪循環で高血圧が悪化する結果、血管への負担から動脈硬化が進みやすくなります。腎臓では、細胞の基本的な働きを支える電解質(水などに溶けて電気を帯びるミネラル)のバランスを取る役目もしています。慢性腎臓病では、そのバランスがくずれることも、動脈硬化を進める一因と考えられます。
 動脈硬化が進む結果、心筋梗塞・脳梗塞(心臓や脳の血管が詰まって起こる病気)などのリスクが高まります。
 最近の米国での調査では、末期の腎不全で透析を始める患者よりも、その前に心血管疾患で亡くなる患者のほうが多いというショッキングな結果が出ています。具体的には、保持している腎臓のろ過能力で決まるステージが3の場合(早見表参照)、5年後には1・3%が透析導入となった一方で、心血管疾患で24・7%が亡くなっていたというのです。
 透析導入にいたるできるだけ前の段階で、悪化を食い止めることの重要性が、あらためてわかります。

・貧血

 腎臓では、骨髄に働きかけて赤血球の産生を調節する、「エリスロポエチン」というホルモンが作られています。慢性腎臓病になると、この分泌が少なくなるため、貧血を起こしやすくなります。最近では、このホルモンを注射する治療法が行われています。

・骨軟化症

 丈夫な骨ができるには、骨の主成分となるカルシウムなどのミネラル類とともに、その吸収や沈着を促すビタミンDが必要です。しかし、食事で取ったビタミンDは、体内で活性型に変わらなければこの働きができません。そして、ビタミンDを活性型に変える役目は、腎臓が担っています。
 そのため、慢性腎臓病では活性型ビタミンDが不足し、骨がもろくなる骨軟化症が進みやすくなります。その対策として、活性型ビタミンDの投与が行われています。

発酵食品を取ってぬるめの風呂につかる

 慢性腎臓病は、以上に見てきたとおり、さまざまな面から見て、ぜひとも予防、あるいは進行を阻止したい病気です。つい「自分は大丈夫」と思いがちですが、初期は自覚症状に乏しく、気が付いたときには進んでいることが多いのが慢性腎臓病の怖いところです。
 下の早見表も参考に、自分が今どのくらい腎機能を保てているかを知り、その結果しだいで、早めに予防や進行防止策をとりたいものです。
 なかでも、「慢性腎臓病になる危険性が高い人」に挙げた項目で、該当する数の多い人は、もともとリスクが高いので、特に注意が必要です。
 最後に、腎機能を保つために、心掛けてほしいことを2点ご紹介します。

腎機能を保つために心掛けたいこと

①腸をきれいにする

 腸内に悪玉菌が増加すると毒素が増えますが、これは腎臓に負担をかける「腎毒素」となります。また、腸の機能が正常になると、たんぱく分解も正常化し、腎臓の負担が減ります。
 食物繊維の多い野菜や果物、海藻・キノコ類などをたっぷり取って、便秘を防ぎます。ただし、腎機能が落ちている場合は、カリウムも毒素になるので、カリウムの多い野菜や果物は控えるべきこともあります。
 また、発酵食品(納豆や薄味の漬物など)をしっかり取って腸内の善玉菌を増やしましょう。

②体を芯から温める

 血管の塊である腎臓にとって、血行不良は大敵です。体を芯から温めて血行を促すことが、腎臓へのいたわりにつながります。
 38〜39℃のぬるめの湯船に30分ほどつかると、腎血流が増えます。温まってリラックスもできるので、ストレス解消にも役立ちます。
 どちらも、とても簡単なことですが、生活に取り入れて日々実行すると、腎臓の衰えを防ぎ、元気づけるのに効果的です。

腎機能がひと目でわかる早見表(女性用)

腎機能がひと目でわかる早見表(男性用)

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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