MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
クレアチニン値による腎機能(eGFR)早見表

クレアチニン値による腎機能(eGFR)早見表

腎臓は非常に「我慢強い臓器」で、慢性腎臓病になっても、ある程度進むまではほとんど自覚症状がありません。症状に気付いたら、早急に受診することが大切です。しかし、自覚症状が現れる前に、慢性腎臓病を見つけるほうがいいのはいうまでもありません。【解説】川嶋朗(東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長)

自覚症状が現れる前に見つけるための検査項目

 腎臓は非常に「我慢強い臓器」で、慢性腎臓病になっても、ある程度進むまではほとんど自覚症状がありません。
 比較的早く表れる自覚症状としては、
「尿が泡立ちやすく、その泡がなかなか消えない」「尿の色が茶色っぽい、または赤っぽい」「頻尿(特に夜間)」などがあり、進むにつれて、むくみ、倦怠感、血圧上昇なども起こります。
 これらの症状に気付いたら、早急に受診することが大切です。しかし、自覚症状が現れる前に、慢性腎臓病を見つけるほうがいいのはいうまでもありません。そのための主な検査法には、以下のものがあります。

尿検査でわかる重要な項目

・尿たんぱく

 尿に含まれるたんぱく質の総量で、「-」「+-」「1+」「2+」「3+」「4+」で示します。健康な人でもある程度検出されることがありますが、原則的には、多いほど腎臓の大きなダメ―ジを示します。
 +の結果が出たら、必ず詳しい検査を受けましょう。その結果が異常なしでも、一度でも+になった人は、潜在的に腎機能が低下しやすい体質だと思われますので、年に一度は検査を受けることをお勧めします。
 また、たんぱく尿に加えて、血尿も出ている場合は、腎機能が急激に低下する病気の危険性もあるので、やはり早急に受診することが必要です。

・尿アルブミン値

 アルブミンは、血中に最も多いたんぱく質で、通常は尿にごく微量しか出ませんが、腎臓が障害されると出始めます。それが微量に出た段階でチェックできるのが、「微量アルブミン尿検査」です。
 尿たんぱくや、後述する血清クレアチニンより早く、腎機能の低下がチェックできます。特に、糖尿病で糖尿病性腎症が疑われる場合、早期に行うべき検査法です。

血液検査でわかる重要な項目

・クレアチニン値

 クレアチニンは、筋肉が壊れて生じる老廃物で、本来、血液によって腎臓に運ばれ、こし採られて尿中に排出されます。しかし、腎臓のろ過機能が低下すると血中に増えてきます。血液1㎗中に、それが何㎎あるかを示すのがクレアチニン値です。この値は、腎臓のろ過能力を示し、高いほどその力が落ちていることを意味します。
 しかし、健康な状態を100%として、何%落ちているか、逆に言うと何%残っているかは、性別・年代によっても違うため、単に正常値との比較だけではわかりません。

・腎機能=eGFR (推算糸球体ろ過量)

 そこで、性別・年代別に、クレアチニン値によって、残存している腎臓のろ過能力がわかる早見表が作られています。それが下の表です。
 クレアチニン値は、職場や地域の健康診断で調べる場合が多いのですが、検査項目にない場合は、どこの医療機関でも簡単に調べられますので、定期的に調べてもらうといいでしょう。
 クレアチニン値がわかったら、上の表の中で、ご自分の性別・年代と、その数値に該当するところを見てください。それが、あなたの腎機能(ろ過能力)です。この値をeGFR(推算糸球体ろ過量)といい、単位は㎖/分/1・73㎡です(以下単位略)。
 図示したステージのうち、遅くともステージ2(eGFR60未満)になったら、医療機関を受診し、たんぱく質制限などの食事療法を始める必要があります。
 ステージ3以降は、腎臓専門医による治療が必要となり、ステージ4以降では透析療法の検討や準備が必要になります。

 とはいえ、種々の条件にもよりますが、この段階でもしっかりと危機感を持って食事・生活改善に取り組み、適切な治療を受ければ、腎機能を温存しながら透析療法を回避し、長く過ごせる場合も多いのです。
 ぜひ、今のご自分の腎機能を正確に把握し、早めに適切な対策をとってほしいと思います。

腎機能がひと目でわかる早見表(女性用)

腎機能がひと目でわかる早見表(男性用)

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連記事
上咽頭の炎症が慢性化すると、自律神経のバランスがくずれ、血流障害が起こったり、血圧が上がったりします。口呼吸の人は、まず、口を閉じて食べ物をよくかむことを心がけましょう。口周りの筋肉やあごが鍛えられ、口呼吸のクセを直すトレーニングになります。【解説】堀田修(堀田修クリニック(HOC)院長)
慢性腎炎には治療法がありません。塩分とたんぱく質を制限し、血圧を上げないように気をつけるだけです。腎機能が低下していると、ふだんから体がむくみやすく、とてもだるくなります。レモン酢を飲むようになって1週間くらいしてから、あまり体のだるさを感じなくなってきました。【体験談】星野久美子(仮名・主婦・71歳)
私は、腎機能の衰えた慢性腎臓病(CKD)の患者さんに、この毛管運動を勧めています。毛管運動は、あおむけになり手足を上に伸ばし、小刻みに手足を動かす運動です。この運動を行うと、たちまち毛細血管の流れがよくなります。【解説者】渡辺完爾(渡辺医院院長)
腎臓病が進行して腎機能が著しく低下すると、通常、機械を使って血液をろ過する「透析療法」を始めることになります。透析療法には、ダイアライザー(透析膜)という装置を利用する「血液透析」と、自分の腹膜を利用する「腹膜透析」があります。【解説】金田浩(かもめクリニック理事長)
症状に対応する臓器に関連する経絡上のツボを刺激すると、神経・脊髄・脳を介する生理反応により、その症状を軽減・解消できます。強く長く押し過ぎることのないように心がけつつ、ツボ刺激を、毎日の習慣にするといいでしょう。【解説】伊藤剛(北里大学東洋医学総合研究所・漢方鍼灸治療センター副センター長(鍼灸診療部長・漢方診療部長))
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル