老眼が軽くなったら白内障を疑え!
白内障や緑内障といった目の病気には、特徴的な前兆や症状があります。目の変調を見逃さず、早期に眼科を受診することが、視力を守ることにつながります。
以下の項目に該当するものがないかどうか、皆さんもいっしょにチェックしてみてください。
白内障とは、カメラでいえばレンズに該当する、水晶体という部分が濁る病気です。多くの場合、加齢に伴って発症し、代表的な症状としては、極端なまぶしさ、かすみ目が挙げられます。
例えば、天気のいい日に外に出ると、まぶしくて周囲が見えない。あるいは、天気が悪い日や家の中のほうが、物が見えやすい。こういった人は、白内障の可能性が非常に高いといえます。
メガネの度数を調整しても、視界がぼんやりしているような場合も、やはり白内障を疑ったほうがいいでしょう。
また、物が二重、三重に見えるようになったので、乱視だと思っていたら、白内障が原因だったというケースも少なくありません。
意外な前兆もあります。水晶体の中心(核)が濁るタイプの白内障の場合、一時的に近視の状態になり、近くがよく見えるようになるのです。老眼が軽くなったように感じたら、要注意です。このまま白内障が進行すると、最終的には目のかすみなどが現れ、全体が見えにくくなります。
白内障が疑われる症状

早期発見に役立つ 「目隠しチェック」
一方、緑内障は、高くなった眼圧が視神経を圧迫するなどして、視野が欠ける、つまり見える範囲が狭くなる病気です。初期には、鼻側の視野が欠け始めるので、片側の目の視野が欠けた状態でも、反対側の目がそれを補い、多くの人は異常に気づきません。緑内障の早期発見が難しいのは、このためです。
緑内障によって視野が欠けると、正面にある物に、頭や体をぶつけることが多くなります。ぶつかった後、「あれ、こんな物はなかったはずなのに」と思ったら、緑内障の疑いがあります。
また、食事中に、目の前にあるおかずに手をつけていない人がいたら、これも要注意です。好き嫌いや満腹で手をつけなかったのではなく、その部分が見えていない可能性があるからです。
緑内障による視野の欠けは、視野の内側(鼻側)から上、下、そして外側へと進行していく場合がほとんどなので、こういった前兆を見逃さないようにすることが、とても大切です。
緑内障が疑われる症状


緑内障の早期発見のために、自分でできる簡単なチェック方法もあります。それは、正面を向いて片方の目を手で隠し、眼球を動かさずに、どのぐらいの範囲が見えるか、どのように見えているのか、ふだんから覚えておく「目隠しチェック」です。
左右の目で見え方が違う、いつもより狭く感じるなど、違和感があったらすぐ眼科を受診しましょう。
なお、このチェック法は、加齢黄斑変性症の早期発見にもつながります。黄斑変性症とは、物がゆがんで見えたり、視界の中心部がぼやけて見えたりする病気です。チェックの際に、障子の桟など、大きさが一定の格子状のものを眺めるようにすると、ゆがみなど見え方の異常に気づきやすくなります。
自分の「持ち眼圧」を 知っておく
緑内障を早期発見するために、四十歳を過ぎたかたに私がお勧めしているのが、眼科で眼圧を測る習慣をつけることです。
緑内障の中には、「正常眼圧緑内障」というものがあります。これは、単に眼圧が正常な緑内障、という意味ではありません。眼圧がたとえ正常値(10〜21ミリ)以内でも、その人にとっては視神経に負担がかかる、高い数値であることを意味しているのです。
これとは反対に、一見、高い眼圧でも、視神経に全く影響がない場合もあります。
つまり、眼圧や、視神経の眼圧の影響の受けやすさは、人によって大きく異なるものなのです。だからこそ、ふだんの自分の眼圧、いわば「持ち眼圧」を把握することが大切です。
ふだんから自分の「見え方」を意識すること、少しでも変化や違和感があったらすぐ眼科を受診すること、自分の「持ち眼圧」を知ること。まずはこの3点を心がけて、目の健康を維持していきましょう。