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【名医に聞く】原因不明の「非特異的腰痛」は「ヤンキー座り」で改善する

【名医に聞く】原因不明の「非特異的腰痛」は「ヤンキー座り」で改善する

「腰が痛い!」幅広い年齢層に蔓延する腰痛。しかし、病院に駆け込んで、骨や神経に異常が見つからない場合は「非特異的腰痛症」と診断されます。非特異的、つまり、原因不明の腰痛という意味。なんとも不思議な病名です。「腰が痛い」という異常があるから病院に来ているのに……。【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)

解説者のプロフィール

戸田佳孝(とだ・よしたか)
●戸田リウマチ科クリニック
https://toda-hiza-seikei.com/

戸田リウマチ科クリニック院長。1960年、大阪府生まれ。86年、関西医科大学卒業。91年、英国王立整形外科病院留学。92年、関西医科大学整形外科大学院修了、医学博士号を取得。97年、米国タフツ大学に招聘研究員として留学。98年、大阪府吹田市に戸田リウマチ科クリニックを開院。2004年、開業医としては史上ただ一人、日本整形外科学会学会奨励賞を受賞。テレビの健康医療番組などにも数多く出演。わかりやすい解説で人気が高い。著書に『ひざ痛の97%は手術なしで治せる』『腰痛は「ヤンキー座り」で治る!』(ともにマキノ出版)などがある。

まずは自分の腰痛のタイプを知ることが大事

日本人のおよそ4人に1人が腰痛持ちであり、しかも一生のうちに腰痛を経験する人は全国民の84%に上る。これは厚生労働省研究班(平成24年度)の調査によるデータです。まさに腰痛は、国民病といってもいいでしょう。

腰痛は大きく、「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」の二つに分けられます。特異的腰痛とは、X線やMRI(磁気共鳴画像装置)などの画像検査によって、骨や腰の構造に異常があると判明した腰痛を指します。平たく言えば、原因が特定できる腰痛です。

一方、非特異的腰痛は、画像診断では骨や腰の構造に異常がなく、神経の症状も出ていない腰痛です。「非特異的」とは、「特に異常がない」という意味です。実は、腰痛の全患者さんのうち、およそ85%がこの非特異的腰痛です。

腰痛を訴えて医療機関を訪れても、画像診断で異常が見つからなければ、湿布薬や痛み止めを処方されるだけというのが実状です。しかし、湿布にしろ、痛み止めにしろ、一時的に痛みをやわらげるだけで、腰痛の根本的な解決にはなりません。だからといって、放置するのはさらに危険です。

「痛い」という情報が脊髄から脳に伝わるときに、交感神経が刺激され、血管の就職や筋肉の緊張がすると、腰痛のある部分の筋肉がさらにこり固まり、腰痛がますます悪化するという「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。

腰痛を改善するための方法ですが、腰痛のかたは少なくとも一度は整形外科で診てもらうことをお勧めします。あなたの腰痛がどのタイプかを知ることが、腰痛を治療するうえで、非常に大切だからです。

検査で原因が確定し、特異的腰痛だとわかったら、それぞれの病気に応じた、適切な対応策を講じる必要があります。一方、検査を受けても、「異常がない」とか、「原因不明」と言われたら、非特異的腰痛ということになります。

あなたの腰痛【自覚症状チェック】

① 腰椎椎間板ヘルニア
□腰だけでなく、太もも裏からふくらはぎにかけてしびれるような痛みがある。
□脱力感、排尿障害を伴うことがある。
□前屈すると痛みが強くなる。

② 腰部脊柱管狭窄症
□歩いているうちに足腰に痛みやしびれが出て、休み休みでないと歩けなくなる。
□ほてり、脱力感、排尿・排便障害を伴うことがある。
□前屈すると痛みがらくになる。

③ 腰椎圧迫骨折
□高齢で、骨粗鬆症と言われたことがある。
□若い頃よりも、身長が明らかに低くなった。
□寝返りを打つと痛む。

④ 変形性腰椎症
□朝、起きたときなど、動き出すときに痛みが強いが、動いているとらくになる。
□立ちっぱなし、座りっぱなしなど、同じ姿勢が続くと痛む。
□階段を上り下りすると腰に響く。

⑤ 腰椎変形すべり症
□同じ姿勢を取り続けると、鈍く重い痛みが出る。
□体を反らせると痛みが強くなり、前屈すると痛みがらくになる。
□子どもの頃、激しいスポーツをしていた。

⑥ 腰以外に原因がある腰痛
□安静にしているときも痛む。
□発熱、だるさ、吐き気、血尿を伴う。
□月経周期に合わせて起こり、下腹部痛や便秘を伴う。

⑦ ギックリ腰(急性腰痛)
□重いものを持つ、急に姿勢を変える、くしゃみをするなどの動作をきっかけに激痛に襲われた。
□体を反らしたり、動かすと痛みが強くなる。
□日がたつと痛みがらくになる。

⑧ 非特異的腰痛
□長時間同じ姿勢でいると痛みが出る。
□ストレスを感じている。
□腰をもんでもらうと一時的にらくになる。

5つの主な「特異的腰痛」

特異的腰痛の代表的なものが、次の五つです。

①腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板という軟骨がつぶれてはみ出し、神経を圧迫して生じる腰痛です。背骨(脊柱)を構成する椎骨の間で衝撃を吸収するクッションの役割を果たしているのが椎間板で、髄核というゼリー状の組織を厚い袋(線維輪)で包む構造をしています。

そのため、椎間板に負担がかかりすぎると、袋が変形したり、中身が袋を突き破って飛び出したりすることがあるのです。痛みの特徴は、腰痛だけではなく、太もも裏からふくらはぎにかけて電気が走るようなしびれと痛み(座骨神経痛)がある点です。

②腰部脊柱管狭窄症
最も特徴的なのが、間欠性跛行と呼ばれる症状で、長く歩いていると、足腰に痛みやしびれが出てきて、続けて歩けなくなります。しゃがんで少し休むと元に戻りますが、動き出すと、また同じ症状をくり返します。

③腰椎圧迫骨折
骨粗鬆症によって骨の密度が低下してスカスカになり、もろくなった結果、軽い衝撃で腰椎(腰の部分の椎骨)がつぶれて骨折が起こり、激しい痛みが生じます。骨折部分が治るまで約3ヵ月間、腰痛が続きます。高齢者で圧迫骨折がくり返し起こると、背中が丸まり、身長も低くなります。

④変形性腰椎症
椎骨と椎骨をつないでいる椎間関節の軟骨がすり減ったり靭帯が損傷したりして、腰痛が起こります。加齢などの影響によることが多く、朝起き出すときに最も強い痛みがあり、日中は比較的腰痛がらくになる傾向があります。

⑤腰椎変形すべり症
加齢変化によって椎間関節がボロボロになり、腰椎が前へすべり、骨の並びがずれて起こる腰痛です。骨のずれが大きくなると、足にまで痛みやしびれが出ることもあります。脊柱管狭窄症と同様、間欠性跛行の症状が出ることもあります。

さらに、腰以外に原因があって起こる腰痛があります。

このような場合は、まず原因となっている病気を治療する必要があります。

例えば、動脈が裂けて膨らむ解離性大動脈瘤では、体位に関係なく強烈な腰背部痛があります。
腰痛に加えて血尿の症状が出ると、腎・尿管の結石が疑われます。

みぞおちの辺りから背部にかけて痛みがあれば、胃・十二指腸潰瘍の可能性がありますし、婦人科疾患では、月経に伴う腰・下肢痛があれば、子宮内膜症が疑われます。

約85%の腰痛「非特異的腰痛」その正体

一方、非特異的腰痛は、画像診断では骨や腰の構造に異常がなく、神経の症状も出ていない腰痛です。「非特異的」とは、「特に異常がない」という意味です。実は、腰痛の全患者さんのうち、およそ85%がこの非特異的腰痛です。この非特異的腰痛症は、どのようにして起こるのでしょうか。

人間は、二本足で歩くようになってから、頭や上半身の重みを背骨で支えなければならなくなりました。その進化の過程で、背骨の首の部分である頸椎は前に、胸の部分である胸椎は後ろに、腰の部分である腰椎は前に突き出て、いわゆるS字状のカーブを描くようになりました。頭の重みをうまく分散させ、無理なく支えているのです。

一般的に「よい姿勢」といわれるのは、視線を前方に向け、あごを引き、胸をはって、下腹に力を入れ、お尻を引き締めた姿勢です。この姿勢のとき、背骨は美しいS字カーブを描きます。その形は、ハクチョウの首の形に似ています。

ところが、ネコ背などで姿勢がくずれると、背骨のS字カーブも同時にくずれます。そうなると、腰の筋肉に負担がかかり、腰痛が起こります

これが、骨の異常や神経症状はないのに腰が痛くなる「非特異的腰痛症」の正体です。痛みをがまんしていると、さらに筋肉が硬くなり、痛みの悪循環を招くことは先に述べたとおりです。

その痛みの原因は、主に筋肉(脊柱起立筋)のこりです。腰に負担がかかり、腰の筋肉がこって硬くなり、痛みが生じます。その特徴は、動きに合わせて痛みが出ることです。安静時にはあまり痛みません。

ただ、長時間同じ姿勢でいると、痛みが出ます。デスクワークの多い職業、ドライバー、美容師など、立ちっぱなし、座りっぱなしといった同じ姿勢を続ける人に起こりやすいのです。

また、「魔女の一突き」などの別名を持つギックリ腰も、非特異的腰痛の一種です。

正式には「急性腰痛症」といい、くしゃみをしたり、重い物を持ち上げたりしたときに突然起こりますが、その病態はいまだに解明されていません。足にしびれや痛みが起こることはなく、腰を反らしたり、動かしたりすると痛むのが特徴です。

脊椎のS字カーブ
頭や上半身の重みを前後左右に分散させるために、頚椎は前に、胸椎は後ろに、腰椎は前に突き出たS字型のカーブを描いている

骨盤まわりの筋肉を軟らかくすることがカギ

では、腰痛を改善するにはどうすればよいのでしょうか。それは、痛みから逃げるのではなく、体を正しく動かして筋肉を軟らかくすることです。

あまりに痛みが強いときは無理して動かす必要はありません。しかし、そうでないなら、多少痛い思いをしても動かすほうが結果的にはよいのです。正しく体を動かして筋肉を軟らかくすれば、体は確実によい方向に変わります。

腰痛を改善するために、軟らかくするべき筋肉とは、骨盤まわりの筋肉です。骨盤まわりの筋肉が軟らかくなると、骨盤の前・横・後ろの筋肉がしっかり伸びることで骨盤が前に傾くため、腰椎の動きが少なくてすむのです。

「体を動かす」と聞いて、みなさんが真っ先に思い浮かべるのはストレッチでしょう。確かに、筋肉をじっくりと伸ばすストレッチは、いつでもどこでも誰にでも手軽に行うことのできる運動療法として定着しています。

しかし、その一方で、「忙しくてストレッチなどやっていられない」「やろうと思っても長続きしない」という人がたくさんいます。

腰痛に効果のあるストレッチとして、寝ころんだり、イスに座ったりして行うものがあります。しかし、勤務時間中に職場で寝ころんでストレッチをするわけにはいかないでしょう。イスに座って行うストレッチなら職場でもできますが、人の目が気になりがちです。

ストレッチの種類が多すぎれば、実行するのもめんどうでしょう。仕事や家事で疲れていたら、そんなことより早く寝たいと思うのも無理はありません。これが「忙しくてストレッチなどできない」「長続きしない」原因ではないでしょうか。 

コンビニの前で見かける「あの座り方」こそ理想のストレッチ

そこで私がおすすめしたいのが「ヤンキー座り」です。

俗に「ヤンキー(不良)」と呼ばれる少年少女たちが、コンビニエンスストアの前などにたむろしている様子を見たことがあると思います。そのとき彼らがよくとっているポーズが、股を広げてしゃがんだ姿勢です。ヤンキーを象徴するポーズであることから、この座り方は「ヤンキー座り」と呼ばれています。

このヤンキー座りの姿勢こそ、腰痛の特効ストレッチになるのです。

背骨のS字カーブがくずれると、腰の筋肉が固くなって腰痛が生じます。また、痛みがあると交感神経が刺激され、血管が収縮して、さらに筋肉が固くなります。ここでいう筋肉とは、脊柱起立筋のことです。脊柱起立筋は、頭部から腰までを結ぶ腸肋筋・最長筋・棘筋という筋肉の集合体です。人間が2本足で立って歩くとき、腰椎を立たせるために必要な筋肉です。

ひざと股関節を曲げ、お尻を落として背骨を前かがみにするヤンキー座りの姿勢は、この脊柱起立筋が最も引き伸ばされる姿勢です。固くなって縮んでいた脊柱起立筋が伸びれば、当然、腰の痛みは軽減します。ヤンキー座りをするだけでなく、ゲンコツを使って筋肉を伸ばすようにすると、さらに効果的です。

ヤンキー座りストレッチのやり方

足を肩幅ぐらいに開き、ひざと股関節を曲げ、お尻を落としてしゃがむ

腰が伸びるように、少し前かがみになる

ウエストのくびれのライン上にある背骨(第四腰椎)から、お尻の割れ目のきわ(仙骨)までを、両手のゲンコツを使って圧迫しながら上から下に20回引き伸ばす。

できれば、朝、ふとんから出てすぐ、朝食後、昼食後、夕食後、就寝前の一日5度行ってください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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