
内臓の状態から感情まで足を見ればわかる
ふだん、ご自分の足を見ていますか?
足は、私たちの体を支えているだけでなく、たくさんのメッセージを発信しています。その情報は、全身の血流、内臓の状態といった体に関することから、顔には出せない感情、ストレスまで、膨大なものです。
足から全身の状態を判断する療法は、古代エジプトや中国など、古くから洋の東西を問わずに行われてきました。こうした療法が発展したものが「リフレクソロジー」です。
そして現在の医療現場でも、心臓や脳などの動脈硬化の早期発見のために、足の状態をチェックすることが推奨されています。
これは、足が「第二の心臓」と呼ばれていることと深く関係しています。心臓から送り出された血液は、全身の中でも足・ふくらはぎ・太ももの筋肉がポンプのように働いて、心臓に押し戻されています。

ですから、足の血流が悪くなっているときは、全身の血流も悪くなっているのです。そのサインが、足の冷えやしびれ、血色の悪さ、ウオノメ、タコなのです。
リフレクソロジーでは、こうしたサインやシワ、においなどから、体だけでなく、心の状態も分析します。そのうえで、1人ひとりに合わせて足をもみ、ときには生活面でのアドバイスもしています。
施術させていただいたかたから、「足だけでなく心も軽くなりました」と、うれしい感想をいただくことがあります。
ご自分でも、毎日足を観察し、触っていれば、色や角質、温度、硬さの変化がわかってきます。足の変化を見逃さず、心身の状態に素早く気づくことができます。そして足をもむことで、体も心も驚くほど楽に、健康になるはずです。
足の内側のアーチは背骨のカーブと対応
これまで私が主に紹介してきたのは「足の裏の反射区」ですが、この章では足の内側について詳しくお話しします。
私たちの内臓や血管などは、意志とは無関係に自律神経がコントロールしています。足の内側には、この自律神経と密接に関係している反射区があるのです。
足の内側のアーチは、実は背骨のカーブと対応しています。例えば、偏平足でアーチがつぶれているかたは、背骨のカーブが小さくなり、重力をうまく分散できなくなって、腰痛に悩まされているケースがよくあります。
自律神経は背骨に沿って走り、網目のように全身に張り巡らされています。自律神経の出入り口である背骨の周囲の筋肉が張ると、神経伝導が悪くなり、内臓の動きや血流なども滞ってしまいます。
例えば、胃の調子が悪いと訴えるかたの多くが、背中が張っていて、「胸椎」の反射区にしこりがあります。このしこりを優しくもみほぐすと、背中の張りが解消するとともに神経伝導が正常な状態に戻って、胃の調子もよくなっていきます。
足を通して体と心を見つめ直す
ここでたいせつなのは、どうして「胸椎」の反射区にしこりができたのか、足に問いかけることです。慢性的に胃の調子が悪い場合、心理的な要因が大きく関わっていると考えられるからです。
頭の中の「思い」が増すと、「重い」になって下りていき、内臓に影響を与え、やがて足にしこりなどとなって現れます。
ご自分の心のあり方に気づき、足をもみほぐして軽くすることで、考え方や感じ方まで変わってくることも少なくありません。
足を通して、体と心を見つめ直し、いたわってください。

自律神経は背骨に沿って走り、背骨から内臓に張り巡らされている。
例えば腰椎1、2番からは大腸をコントロールする自律神経が出ている。
解説者のプロフィール

市野さおり
1968年生まれ。看護師として総合病院で整形外科・集中治療室勤務。退職後、アロマセラピー・リフレクソロジーの資格を生かし「統合医療ナース」としてフリーに転身、内科、脳外科、産婦人科、心療内科、美容皮膚科、ダイエット外来、腫瘍外来など各診療科にて幅広く臨床実践や指導などの活動を行う。