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【糖尿病治療】 お勧めの症状改善法は「笑いヨガ」

【糖尿病治療】 お勧めの症状改善法は「笑いヨガ」

糖尿病は、治療で改善はしますが、一生つきあっていく必要のある病気です。さらに、合併症も起こりうる、ということが精神的負担になります。実際、糖尿病患者さんにうつ病が多いという研究報告もあるのです。笑いヨガは、ストレス発散に役立ち、うつ症状の軽減が期待できます。【解説】金子由梨(済生会西条病院内科医長)

解説者のプロフィール

金子由梨
2003年日本医科大学卒業。朝日生命成人病研究所附属病院で勤務後、2012年から愛媛県の済生会西条病院に内科医師として勤務。2013年より内科医長となり、糖尿病外来、禁煙外来、健康診断などを担当。糖尿病患者さんの行動変容の一助となればとコーチングを学び、生涯学習財団認定コーチ、日本コーチ協会認定メディカルコーチの資格取得。日々の外来や、病院でのチーム医療に活用している。

内臓脂肪をへらし血糖値を下げる

 私は、糖尿病専門医として愛媛県にある西条病院に勤務しています。
 糖尿病の治療では、患者さんに合った薬を選択するだけでなく、食事・運動療法も重要です。さらに、生活習慣をいかに変えていくか、という「行動変容」が重要な要素になります。

 とはいえ、習慣というものは、わかっていてもなかなか変えられません。私は、行動変容へのアプローチとしてコーチングを学び、日常診療で活用しています。また、医療スタッフ間でのチーム医療の促進などにも、コーチングを活用しているのです。

 2012年、「臨床コーチング研究会」のセミナーが福岡県で開催されました。そこで偶然、隣の席になったのが、中瀬医院院長の中瀬勝則先生でした。お話しするうちに、同じ四国の出身であること、コーチングや禁煙といった興味のある分野が同じであることがわかり、すっかり意気投合。これがご縁で、交流が始まりました。

 中瀬先生は、さまざまな分野で精力的な活動をされており、刺激を受けました。なかでも印象的だったのが、「笑いヨガ」のお話でした。その詳細を知るにつれ、「糖尿病の治療にも役立つのではないか」という思いを深めていったのです。 
 ある日、中瀬先生から、徳島県で「日本笑い学会」四国支部の研究報告会が開催されることを教えていただきました。コーチングの講演と笑いヨガという、とても魅力的な内容で、私は迷わずに参加を決めたのです。
 さて、研究会の前日、講演を担当される予定だった先生がこられなくなり、急きょ、私が代役を務める、という想定外の出来事もありました。とはいえ、なんとか無事に講演を終え、いよいよ笑いヨガ初体験です。

 最初、何もないところから、いきなり笑うという行為に、恥ずかしさもありましたが、参加者の笑い声に引っ張られて、自然と笑うことができました。
 また、全身がポカポカしてきて、笑いヨガが有酸素運動として優れていることを実感しました。何より驚いたのが、参加者の皆さんが晴れ晴れとした表情で帰路につく姿を見たことでした。それを見て、「ぜひ、糖尿病の患者さんといっしょに笑いヨガをやりたい!」と思ったのです。

 糖尿病の患者さんは、治療のために食べたいものを我慢するなど、日常生活に制限が課せられるため、ストレスを抱えがちです。また、糖尿病は、治療によって改善はしますが、一生つきあっていく必要のある病気です。さらに、長く続くと合併症も起こりうる、ということが大きな精神的負担になります。実際、糖尿病患者さんに、うつが多いという研究報告もあるのです。
 笑いヨガは、ストレス発散に役立ち、うつ症状の軽減が期待できます。さらに、有酸素運動によって、内臓脂肪を減少させ、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の効きをよくし、血糖値を下げる効果も期待できるでしょう。

参加者の半数以上の血圧が下がった!

 また、エクササイズとして優れているのが、だれでも簡単に実践できることです。
 患者さんの中には、「ひざが痛くてできない」「きっかけがない」などの理由で、なかなか運動に取り組めないかたもいらっしゃいます。その点、笑いヨガは家にいながら、座ったまま、寝たままでも実践できます。多人数で行うほうが楽しいですが、一人でも、自分の都合に合わせて手軽に行うこともできるのです。
 運動は大変で、しんどいと思われがちですが、笑いヨガなら楽しく取り組めるうえ、効果も期待できます。糖尿病の患者さんをはじめ、健康増進を目指すかたには、ほんとうにお勧めです。

 11月15日は「世界糖尿病デー」であり、各医療機関が趣向を凝らした糖尿病の啓発イベントを行っています。
 2013年は、患者さんに楽しく、元気になってもらいたいと考え、笑いと健康の話と、笑いヨガの体験会を組み合わせたイベントを企画したのです。前述した「日本笑い学会」の研究報告会で、笑いヨガのすばらしいリードをされていた、岩野沙織さんをお招きすることになりました。

 私も企画に際して、もっと笑いヨガを知りたいと思い、リーダー養成講座に参加しました。「日本笑いヨガ協会」の代表である高田佳子さんから笑いヨガの真髄を教わり、楽しくも充実した時間を過ごすことができました。
 さて、イベント当日は、地域住民や通院・入院患者さんも含め、約80名のかたがたに参加していただき、結果は大成功でした。皆さん、とてもいきいきとした表情をされていたのです。
 また、笑いヨガの前後で、参加者の血圧を測定したところ、終了時に血圧が下がった人が半数を超えていました。

 その後、定期的ではありませんが、入院患者さんやスタッフと、笑いヨガを行っています。いつも暗い表情だった患者さんが、屈託のない笑顔になるのを見て、「こんなふうに笑うんだ」と感激させられることもあります。
 病院が主催する健康講座でも、笑いヨガを取り入れています。いきなり笑えといわれても、とまどうのではないか、と最初は心配していましたが、実際にやってみると、とても盛り上がって好評でした。実際、「こんなに楽しい健康講座は初めてです」「婦人会でもやってほしい!」という反響をいただいています。
 糖尿病の治療で大切なことは、継続することです。笑いヨガは、楽しく効果的に運動を続けることができ、ストレス解消にも役立つので、糖尿病治療のパートナーとしてお勧めです。ぜひ、一度試してみてください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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