
職員の接し方が笑顔で改善
私は、理学療法士として、病院に勤務しています。
そんな私が「笑いヨガ」に出会ったのは、業務の一環で参加した接遇研修がきっかけでした。
接遇研修とは、医療スタッフとして、どのように患者さんと接したらいいかを学ぶものです。
その研修会で、紹介されていたのが笑いヨガでした。
短い時間の説明でしたが、私は本能的に「これは、いい!」と感じたのです。
「白衣の天使」という言葉で代表されるように、医療現場で働いている人は、いつも笑顔で優しいイメージがあるかと思います。
しかし残念ながら、実際の現場はそうではない場合も多いのです。
日々の業務は多忙を極め、患者さんの命を預かるデリケートな仕事です。
心に余裕がなくなると、顔や話し方が怖くなるスタッフもいます。
その点、笑いヨガは、とにかく笑う体操です。
まず、強引に笑顔を作ることで、職員が患者さんに対する接し方も改善するのではないか、と思ったのです。
優れた有酸素運動かつ柔軟体操としても有効
研修から1ヵ月後、私は早速、笑いヨガのリーダー養成講座に参加しました。
幸運なことに、「日本笑いヨガ協会」の代表である高田佳子さんに教えてもらったのです。
実際に、笑いヨガを体感してみると、理学療法士としての経験からも、とても優れた有酸素運動だということを実感しました。
きっかけは、職員たちの接遇改善でしたが、笑いヨガを学んでいくうちに、患者さんの運動療法としても役立つと確信したのです。
私の仕事は、患者さんに運動療法などのリハビリテーションを指導することです。
しかし、すべての患者さんがスムーズに取り組んでくれるわけではありません。
体の痛みが悪化するなど、調子が悪いときは、だれでも運動をやりたくはないものです。
それでも、あの手この手を使って、リハビリに取り組んでもらう、それが理学療法士としてのスキルが問われるところです。
しかし、笑いヨガは、だれでも簡単に実行できるうえ、とても楽しい体操。
理学療法士としての専門的なスキルが不要で、有酸素運動としても優れているため、きっと私の仕事にも役立つはずです。
また、体の動きも組み合わさっているので、柔軟体操としての効果も期待できます。

あっという間に地域で大評判!
運動療法としても優れた力を発揮!
私は、理学療法士として、地域で健康教室を月に2~3回開いていますが、まず手始めに、その教室で笑いヨガを取り入れることにしました。
すると、手ごたえはバッチリ。
あっという間に地域で評判になり、別の施設から、介護予防や認知症予防のために、笑いヨガを教えてほしいという要望がふえていったのです。
職場でも、患者さんと一対一で笑いヨガをしています。
私の期待どおり、運動療法としても、すばらしい力を発揮しています。
例えば、呼吸器に問題を抱える患者さんは、すぐに息が切れてしまうため、ふだんのリハビリも困難な状態でした。
しかし、私と笑いヨガを行ってもらったところ、無理なくできたうえ、呼吸が楽になってきたのです。
呼吸器に問題がある人は、うつ状態に陥りやすい傾向がありますが、笑いヨガを行った患者さんは、呼吸が楽になったことで、気持ちが前向きになりました。
自発的に散歩に出かけるなど、行動的になったのです。

新陳代謝が高まって、太りにくい体質に一変
進行性核上性麻痺(脳の特定の部位の神経細胞が減少し、転びやすい、しゃべりにくいなどの症状を引き起こす病気)という難病の患者さんにも、笑いヨガが効果的でした。
その患者さんは、症状が進行して、大きな声が出せないことが悩みでした。
しかし、笑いヨガをやったところ、表情がやわらかくなり、大きな声が出るようになったのです。
私自身も、毎朝、シャワーを浴びながら、20分ほど笑いヨガをしています。
こうして笑いヨガを始めてから、長年の悩みだった肩こりが取れました。
また、新陳代謝が高まったようで、太りにくい体質に変わったのです。
また、何よりうれしいのは、朝からスッキリとした気持ちで、仕事に出かけられるようになったことです。
おかげで、出勤したとたん、心からの笑顔で、患者さんと接することができます。
解説者のプロフィール

染谷明子
富山医療生活協同組合富山協立病院リハビリテーション科科長・理学療法士
心からの笑顔を出せる!