【うつ・アトピー】大本の原因は腸にあり!「柿」と「ラード」を避けよ

【うつ・アトピー】大本の原因は腸にあり!「柿」と「ラード」を避けよ

私は、長年、おなかを診て、うつやアルツハイマー、不眠など、さまざまな病気の治療をしてきました。「おなかでうつを治す?」と不思議に思う人がいるかもしれませんので、まずは、腸を整えることでうつを改善した患者さんの例をご紹介しましょう。【解説】田中保郎(西諫早病院 東洋医学研究センター長)


田中保郎
1967年、長崎大学医学部卒業。東洋医学に基づく「根っこ=腸」を重視した独自の医療理論「考根論」を築く。著者に『よくわかる東洋医学考根論』(山中企画出版部)など。

おなかを診て治療する―Aさんの例

 私は、長年、おなかを診て、うつやアルツハイマー、不眠など、さまざまな病気の治療をしてきました。「おなかでうつを治す?」と不思議に思う人がいるかもしれませんので、まずは、そうした患者さんの例をご紹介しましょう。
 Aさん(70歳・女性)は、停年退職を機に、住み慣れた土地を離れて生まれ故郷に帰ってきました。しかし、一人暮らしで、周囲に知り合いもなく、Aさんはどんどん引きこもっていったそうです。悲観的なことばかり考えるようになり、生きる気力を失いかけていたとき、妹さんに連れられ、私のところを受診しました。
 Aさんは若いころから、ひどい便秘でした。放置すれば1週間も排便がなく、3〜4日に1度、下剤に頼る生活を続けてきたそうです。
 おなかをさわると、へその左側に緊張があり、痛みを訴えました。そこで、私は漢方薬で便秘を治しながら、おなかの症状を取っていきました。
 Aさんの便秘は5ヵ月ほどでよくなり、それとともに気持ちも変わってきました。近所づきあいができるようになり、物事を前向きにとらえられるようになってきたのです。

生きるのに必要な指令は腸が出している!

 このように、おなかの調子がよくなると、うつや引きこもりも治ってきます。それだけでなく、多くの病気は、腸を整えることで改善します。私がそれに気づいたのは、趣味の盆栽がきっかけでした。
花や葉が枯れたとき、プロの庭師なら根腐れを疑います。根っこは土から栄養や水を吸収するところ。そこが腐れば、花も葉も枯れてしまいます。
 人間も同じで、栄養を吸収する腸は、木でいえば根っこです。その腸が悪くなれば、全身に病気が出てきます。それを治すには、症状の出たところではなく、大本の腸に目を向けることが大事なのです。
 うつや引きこもりは、心の病といわれています。その心が宿るのも腸です。それは、生物の進化を見れば明らかです。
 人類の祖先をたどると、ヒドラという腔腸動物に行き着きます。これは口と腸と触覚しか持たない生物で、「おなかがすいた」と感じるのも、「栄養を取れ」と命ずるのも腸です。
 生きるのに必要な指令は、すべて腸が考えて出しているのです。この機能は、人間にも受け継がれています。脳は、のちに腸から派生したにすぎません。
 腸で指令を出しているのは、基底顆粒細胞です。この細胞は、腸の粘膜上に散在し、食物などの外から入ってきた情報を周囲の細胞に伝えます。そして、その情報をもとに、ホルモンを分泌します。
 このホルモンは、脳にも重大な影響を及ぼします。アルツハイマーはこのホルモンがうまく機能しなくなった状態、すなわち、腸の基底顆粒細胞の劣化によって起こると、私は考えています。

ぬか床をつけるイメージで腸を整える

 脳は頭蓋骨で守られていますが、腸にはそういう骨はありません。代わりに腸を守っているのが、腸内細菌です。
 ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌は、腸内で乳酸や酢酸などの有機酸を作り、腸内を酸性にします。そうすることで、病原菌の増殖をおさえたり、有害物質を分解したりしています。
 この腸の働きは、ぬか床によく似ています。ぬか床には乳酸菌や酵母菌が繁殖しており、これらの菌が野菜を発酵させて、おいしいぬか漬けを作ります。同じように腸でも、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が発酵して腸の環境を整え、体によい作用をもたらします。
 しかし、手入れを怠ると、ぬか床にカビが生えるように、腸も腸内細菌のバランスがくずれたり、大事な基底顆粒細胞に異変が生じたりします。
 ですから、心の病気を改善するには、ぬか床を上手に漬けるイメージで、腸の状態を整えてやることがいちばんです。そのために、次の3つのことを守ってください。

① よくかんで食べる

野菜を適度な大きさに切ってぬか床に漬けると、野菜がよく漬かります。同じように、よくかんで食べ物を細かくすれば、腸で発酵し、吸収されやすくなります。

② 腹8分めにする

ぬか床にたくさん漬けすぎると、うまく漬かりません。おなかも食べすぎると消化不良を起こすので、「もう少し食べたい」というところでストップします。

③ 腸を冷やさない

ぬか床も腸も、冷やすと発酵が進みません。冷たいものを飲食しないだけでなく、体を冷やす食材は避けます。
上に体を冷やす食材、温める食材、どちらでもない食材の主なものを、一覧にしましたので、参考にしてください。もし、冷やす食材を食べる場合は、それを補うために温める食材もいっしょにとるといいでしょう。柿と豚のラードは、特に体を冷やすので要注意です。

腸を整えることで、うつ患者の8割が回復し社会復帰!

 私は、このように日常生活で腸の状態を整えてもらいながら、漢方薬を処方しています。そうすることで、うつの患者さんなら、8割が社会復帰できるほど回復しています。心の病気だけでなく、アトピー、難治の病気も次々と改善しています。
 皆さんも、ぬか床をイメージして、腸から健康になってください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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