解説者のプロフィール

高木智司(たかぎ・さとし)
心神診療室院長。日本自律神経病研究会理事。1984年、名古屋大学医学部卒業。2002年に心神診療室を開院。食生活などの生活習慣の改善から、体が本来持つ免疫力を高めることで、病気を根本から治す治療に力を入れている。著書に『「首に枕をする」と腰痛が治る』(マキノ出版)などがある。
●心神診療室 http://sinsin-clinic.d.dooo.jp/
生活習慣病は「食べ過ぎ」によるもの
生活習慣病は食べすぎによるものだと、私は考えています。
世界レベルで見ると、1日2食の民族が非常に多いのです。日本でも、江戸時代に一部の人が1日3食を始めるまでは、1日2食でした。つまり、人間は1日2食で生活するようにできているのです。
私たちは口から物を食べ、小腸で栄養素を取り入れ、大腸で老廃物を運びます。必要以上に食べ物を入れると、腸を痛める原因となります。特に、腸を傷つける原因となるのは、動物性のたんぱく質です。
ところで、歯は、その動物が何を食べるかを表しています。草食動物は草を食べる門歯が、肉食獣は肉を食いちぎる犬歯が発達しています。
人間は雑食ですが、32本の歯のうち、犬歯は4本しかありません。つまり、動物性たんぱく質の摂取量は、食事全体の32分の4、つまり8分の1が適当なのです。しかし、現代人はそれ以上のたんぱく質をとっています。腸に負担がかかるのは当然です。
過剰に摂取されたたんぱく質は、腸の中で腐敗します。それが血液に再吸収され、血液を汚し、病気へとつながるのです。
腐敗したたんぱく質は発ガン性があるため、まず大腸ガンの原因となります。また、毒素を処理する肝臓や腎臓にも負担がかかるので、肝臓ガンや腎臓ガンにもつながります。内臓で処理しきれなかった老廃物は皮膚から排出され、アトピー性皮膚炎となって現れます。
パーキンソン病やアルツハイマー病の原因にも
腸が傷害を受けると、腸とかかわりの深い脳にも影響が出ます。パーキンソン病やアルツハイマー病は、腸の働きが悪くなり、たんぱく質のカスが脳の中にたまって起こる病気といえます。
ですから、病気の改善や健康維持には、食べすぎを改め、腸にたまった老廃物を排出することが第一です。
そのため、私はすべての患者さんに、朝食をニンジンリンゴジュースに替えることを勧めています。
朝は、目ヤニが出たり、口臭が強くなったり、尿意を催したりするように、体内の老廃物を排出する時間帯です。このときに朝食をとると、腸が消化にエネルギーを使うことになり、排泄ができません。
食べすぎの現代人は、腸に老廃物をため込んでいます。その状態で朝食をとったら、詰まった下水道に水を流し込むのと同じで、意味がないどころか、腸への負担が増すばかりです。
「朝食をやめましょう」というと、必ず「力が出ません」という人がいます。しかし、野生の動物は、空腹時にしか狩りをしないし、力士は朝食をとらずに激しいけいこをします。朝食をとらないと動けないということは、決してありません。
私がニンジンリンゴジュースを勧める理由は、二つあります。
第1に、液体なら腸に負担をかけず、栄養素を摂取できるからです。ですから、ジュースを作るときはジューサーを使い、食物繊維を取り除いてください。ミキサーを使用する場合や、手ですりおろす場合は、ガーゼなどで食物繊維をこします。
第2の理由は、ニンジンとリンゴが栄養価の高い食品だからです。リンゴのポリフェノール、ニンジンのカロテンは、数ある野菜や果物の中でも、ひときわ強い抗酸化力を持っています。さらに、リンゴのペクチンには、体内の毒素を排出する作用があるといわれています。
ニンジンリンゴジュースの作り方

【材料】
ニンジン…2本
リンゴ…1個

【作り方】
ニンジンとリンゴをジューサーにかけてジュースを作る。

*ミキサーを使用する場合や、手ですりおろす場合は、ガーゼなどでこす。
*レモン汁やショウガ汁、キャベツのしぼり汁などを加えてもよい。
1回に飲むジュースの量は、コップ1杯(約200ml)です。朝食はこれだけにします。
ニンジンとリンゴの割合は、しぼり汁が1対1になるぐらいが理想です。目安は、ニンジン2本とリンゴ1個ですが、大きさや水分量によって違うので、何度か試しながら、ちょうどいい分量を調整してください。
レモン汁やショウガ汁、オリーブ油、キャベツのしぼり汁を加えてもいいでしょう。オレンジやグレープフルーツなどのかんきつ類は体を冷やすので、あまりお勧めしません。
ジュースを飲むと体が冷えるという人は、湯せんして人肌程度(40度前後)に温めてもけっこうです。ただし、それ以上熱くすると、成分が変化してしまうので、注意してください。
飲み方も大事です。ゴクゴク飲むのではなく、一口ずつ、よくかんでから飲みましょう。かむことで、消化器に「これから食べ物が入る」と合図を送るのです。こうした小さなことも、腸の健康につながります。

ニンジンリンゴジュースは腸をきれいにする
私の診療室では、朝食をニンジンリンゴジュースにする指導と、首と腰に枕をして自律神経を整える治療法で、多くの症状に効果を上げています。簡単に症例を紹介しましょう。
26歳の男性Aさんは、全身のアトピー性皮膚炎で来院しました。彼は半年で全身のアトピーが消失し、肩こりと腰痛も改善しました。
42歳のパーキンソン病の男性Bさんは、右ひじが曲がって伸びない状態でした。このかたも、朝食をニンジンリンゴジュースだけにしたところ、ひじが動くようになりました。
朝食をニンジンリンゴジュースにすることで、腸がきれいになります。病気の有無にかかわらず、ぜひ実践してほしい健康法です。