食べ過ぎなければギョウザもOK
私が指導している糖質制限食は、肥満の解消・予防、糖尿病の予防、予備軍の血糖値の改善に主眼を置いています。そのため、糖質の制限は比較的ゆるやかに行います。
例えば、皮や衣に糖質が多いギョウザやシュウマイ、トンカツ、天ぷらなども、「食べ過ぎない」という条件付きで、食べて構いません。
ゆるやかな制限でも糖質を少なめにすることで、着実に肥満を解消し、血糖値を改善することができます。
なお糖尿病の治療を受けている人は、主治医の指示に従って食事療法を行ってください。では、私が指導している糖質制限食のやり方を説明しましょう
1.主食は1日1回。夜は抜く
主食は朝、昼どちらかで食べ、夕食では必ず抜きます。ごはんなら茶わんに軽く1膳、100g程度です。これまで三食、主食を取ってきた人は、二食抜くだけで、十分糖質制限になります。
主食を食事の最初に食べると、血糖値が急激に上昇します。これを避けるには、野菜料理をまず食べ、肉や魚の主菜を半分ほど食べてから主食を食べるといいでしょう。野菜に含まれる食物繊維は、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
旅行や会食など特別な日は、楽しみを優先して主食を取って構いません。次の日から調節すれば大丈夫です。
2.おかずをたっぷり食べる
朝・昼・夕とも、おかずはしっかり食べましょう。たっぷりの野菜に、肉、魚、大豆製品、海藻などを組み合わせます。カボチャ、ニンジン、レンコン、などの根菜や、イモ類、トウモロコシは、糖質が多いので、少量にしましょう。
食材を選ぶポイントは、食べて甘い物はなるべく避けること。また、なめてみて甘味のあるケチャップや中濃ソース、みりんなどの調味料も使うときは少量にします。
果糖が多い果物は、ときどき食べるのはよいですが、デザートとして習慣的に食べることはやめましょう。
3.腹八分目で1口30回かむ
昔からいわれている「腹八分目」は健康維持の基本です。糖質制限をしながら食べ過ぎを防ぐことで、減量効果も糖尿病の予防効果もいっそう高まります。
また、よくかむことで脳の満腹中枢が刺激され、腹八分目で満腹感を得ることができます。おしゃべりしながら食べると、かむことがおろそかになりがちです。気を付けましょう。
4.毎日、体重計に乗る
毎日、体重を計ることで、体の変化がわかる上、数字を意識することで減量のモチベーションが上がります。
糖尿病予備軍の人は、血糖測定器を購入して、食後1時間の血糖値を測るのも健康管理に役立ちます。
個人差はありますが、糖質制限食を始めると、みるみる体重が落ちます。100kgの人では1ヵ月で10kg程度、60kgの人で4kg前後の減量が見込めます。
これ以上体重が落ちる場合は、食事の全体量が不足していると思われます。おかずの量を増やしましょう。
晩酌は?おやつは?
焼酎やブランデーは適量飲んで構わない。ビールや日本酒は糖質が多いため、控える。おやつは、原則として間食はしないほうがよいが、小腹がすいたときには、糖質が少ないのでチーズやナッツがお勧め。
前川 智
2001年、産業医科大学医学部医学科卒業。神戸労災病院等を経て、2011年より現職。新潟労災病院内視鏡診療センター長。内視鏡的胃内バルーン留置術を得意とし、胃ガンや大腸ガンの内視鏡治療の実績も多数。新聞やテレビの出演を通し、病気予防の啓蒙に努めている。