味覚確かな利き酒師の妻が考案
我が家は、全員納豆好きの「納豆家族」です。冷蔵庫には常に納豆が10パックは入っていて、食事にはたいてい納豆が登場します。
息子は、生まれたときから納豆を食べる両親を見て育ったので、当然のように納豆が好きになりました。
しかし妻は、最初から納豆を好んで食べていたわけではありません。香川県出身の妻は、納豆になじみがなく、あの独特の粘りやにおいがあまり得意ではなかったのです。
一方の私は、東京で生まれ育ち、物心ついたころから納豆を食べています。そこで、まずは初心者でも食べやすい「ひきわり納豆」を妻に勧めました。
それに慣れたら、次は「小粒納豆」、そして「中粒納豆」と続き、最後は豆本来の味を楽しむ本格派「大粒納豆」に到達するという「成長プログラム」を、数年かけて指導しました。
成果はバッチリ! 妻は今、あたりまえのように納豆を食べています。
さらに我が家では、納豆をいろいろな調味料とコラボさせ、味の変化を楽しんでいます。
納豆は、どんな物と合わせても、その風味を損なうことなく、非常にうまく合体します。
塩を入れるとさっぱり風味で、乙な感じ。ソースを加えてご飯にかけると、ソースカツ丼のような味わいです。ヨーグルトを混ぜると、おしゃれな前菜になりますし、砂糖をかけたら、もはやスイーツです。
そんな「コラボ納豆」のなかで、私が最もお勧めするのが「酢納豆」です。
納豆に酢をかけて混ぜると、メレンゲのような泡立ちが生まれます。このフワフワの泡が、実においしいのです。
酢納豆は、もともと妻のアイデアでした。
我が家の食卓には、ギョウザがよく登場しますが、その際のつけだれは酢オンリー。しょうゆやラー油は使いません。酢だけで食べると、ギョウザそのものの味を楽しめます。
これを納豆に応用したのです。つまり、「酢で食べたら、納豆本来の味を堪能できるのでは」と考えたわけです。
妻は利き酒師の資格を持っているくらいですから、味覚は確かです。その妻が「納豆を酢で食べるとおいしいよ」というのですから、躊躇することなく食べました。そして、これがほんとうにおいしい! 以来、我が家の定番となっています。
白飯がなくても大満足! 間食にも最適!
酢納豆は、おいしいだけではありません。私の健康管理にも役立っています。
40代に入ってから、白飯を控える糖質制限を始めました。それまでは、20代のころの体重と体形を維持していたのですが、やはり年齢には勝てません。太りやすくなり、衣装がきついと感じることがありました。
せっかく用意していただいた衣装を、「きつくて着られません」というのは申し訳ないので、ダイエットのために糖質制限を始めたというわけです。
まず、テレビ局で出されるお弁当の白飯を、半分残すようにしました。問題は、自宅での食事です。我が家の食事には納豆がつきもの。納豆を食べるなら山盛りの白飯が欲しい。でも、そうすると体重が……。
そこで、酢納豆の出番です。
酢納豆は、ご飯にかけるより単独で食べるのに向いています。酢の物のようなので、白飯が欲しくなりません。そして、意外とおなかがふくれるので、白飯がなくても大満足です。
酢納豆は、間食としても最適です。妻も私も、小腹がすいたときに酢納豆をよく食べます。早朝に出かける日など、時間がないときの食事として、酢納豆だけを食べることもあります。
私は現在、身長181㎝、体重75㎏です。日本テレビ入社時は71㎏でしたから微増ですが、54歳という年齢を考えると、許される範囲ではないでしょうか。これも酢納豆のおかげです。
酢納豆は、酒の肴としても活躍しています。ちりめんジャコ、青ノリ、刻みネギ、ヤマイモのとろろ、オクラなどを入れた酢納豆をつまみにすると、いくらでもお酒が進みます。
私は日本酒の本を出すほどの日本酒好きですが、この酢納豆、日本酒と非常によく合います。日本酒党のかたは、ぜひ一度お試しください。
低カロリーで代謝アップ 満腹感も長時間持続する(済生会松阪総合病院医師・河埜玲子)
納豆は、良質のたんぱく質が豊富で栄養価が高く、その割に低カロリー(低エネルギー)であるのが特長です。さらに、代謝を上げるビタミンB群や、満腹感が長時間持続する食物繊維も豊富なので、健康的なダイエットには最適な食品といえるでしょう。
納豆にしょうゆやたれなどを加えると、どうしてもご飯を食べたくなりますが、酢を入れるるとさっぱりした味になり、ご飯なしでも満足できます。
また、酒のつまみは濃い味つけになりがちですが、酢納豆なら塩分を抑えることができるので健康的だと思います。
福澤 朗
1963年生まれ。東京都出身。「ジャストミート!」「ファイヤー!」など、プロレス実況の決めぜりふで一世を風靡する。2005年、フリーに転向。日本酒の魅力や銘柄の選び方、料理との合わせ方を紹介した著書『日英対訳 ときめきの日本酒 手軽に愉しむためのビギナーズガイド』(文芸社)が好評発売中。