苦手な納豆が、酢をかけると美味しくなるから不思議
私は今年89歳になりましたが、周りの人たちが驚くほど元気です。酢納豆は、そんな私の健康を支えてくれています。
毎朝5時半に起きて、NHKのテレビ体操をするのが私の日課です。気功と太極拳の教室にも通っています。これだけでも感心されます。
こうした運動ができるのも、バランスの取れた食事のおかげだと自負しています。好き嫌いをせず、「体にいい物」を食べることを習慣としているのです。口に合わない食品も、少し工夫すれば、おいしく食べることができます。
例えば、酢納豆です。実をいうと、私は納豆が好きではありません。以前から、納豆が体にいいことは知っていましたが、あのにおいと粘りが苦手で、食べずにいたのです。
同年代の友人から、「納豆は体にいいので毎朝食べている」と聞いたときも、「いくら健康のためとはいえ、納豆を毎朝食べるのは、ちょっと無理だわ」という感じでした。
ところが、そのあとすぐに、雑誌やテレビで「納豆が体にいい」というのを頻繁に見たので、試しに食べ始めたのです。
ただ、添付のたれとからしだけでは、納豆のクセが消えず、食べるのに抵抗がありました。そこで、ダイコンおろしや卵黄、刻みネギ、カツオ節などをたっぷりのせて、たれを半分ほどかけて食べていました。たれを半分しか使わないのは、塩分を控えて血圧を上げないためです。
そんなある日、納豆に米酢を2〜3滴垂らしてみたのです。すると、酢の物のような味になり、そのおいしさにビックリしました。
80歳を過ぎてから 元気度がアップ!
私はもともと酢が好きで、酢の物は大好物。酢を加えると、納豆の独特のにおいが消えて、とてもおいしくなります。それ以来、納豆を食べるときには酢を入れるようになりました。
納豆に酢を入れると、においだけでなく、粘りも変化します。ネバネバの糸が、泡のようにフワフワトロトロになります。その泡は酢の味がして、とてもおいしいのです。また、のどの通りもよくなります。
一口食べてはかき混ぜて泡立て、また一口食べて泡立てる、ということをくり返しながら食べています。ご飯にはかけません。私にとって酢納豆は、酢の物の扱いです。
酢納豆をはじめとして、体にいい物を適量食べるようにしているので、この年齢になっても体が動きます。また、体を動かしているから、なんでもおいしく食べられるのでしょう。
同年代の友人たちは、季節の変わりめに体調をくずすことが多いようです。今年の夏も、暑さにやられたり、冷房でカゼをひいたりした話を、よく聞きました。私の場合、ちょっと疲れたかな、というときでも、夕食に酢納豆を加えることで、翌朝には体調が復活するのです。
今のところ、健康に関しては困ることなく、毎日元気に過ごしています。先日も、年下のいとこと銀座で会うため、1時間ほど電車に乗って出かけ、買い物と食事を楽しんできました。
そんな私を見て、娘は「お母さんは、年とともにどんどん健康になっていくみたい」と感心しています。確かに、酢納豆を始めた80歳ごろから、元気度が増してきた気がします。
私くらいの年になると、遠出する人は少なくなります。足腰や目、耳が弱り、外に出る自信がなくなるようです。でも、外に出ないと、楽しみの幅が狭まります。私はまだまだ、見たいものや聴きたいもの、体験したいことがたくさんあるのです。
ですから、酢納豆のような健康的な食事を心がけ、運動も継続して、元気で楽しく暮らしていきたいと思っています。
高齢者の筋肉と活力、 骨の健康に役立つ(済生会松阪総合病院医師・河埜玲子)
高齢になると、野菜と白飯だけで食事を済ませる人が増えてきます。これでは、たんぱく質が不足して、筋力も活力も低下します。「畑の肉」といわれるダイズから作られる納豆が、たんぱく質補充に役立ちます。
また、高齢女性は骨粗鬆症による骨折が寝たきりの原因になることもあります。納豆は骨を丈夫にするカルシウムやビタミンKを含むので、お勧めです。
「体が動く!」と今枝さん