【自分で治せる】「テニス肘」実はひじの腱鞘炎のこと ― 痛み、しびれの原因と治療法

【自分で治せる】「テニス肘」実はひじの腱鞘炎のこと ― 痛み、しびれの原因と治療法

腱鞘炎は、大きく分けて3つに分けられます。手首の腱鞘炎、ひじの腱鞘炎、指の腱鞘炎です。今回解説するのは、ひじの内側や外側に痛みやしびれが起こる、肘の腱鞘炎です。通称「テニスひじ」とも呼ばれています。チェック方法や自分で治すための方法を紹介します。【解説】高林孝光(鍼灸師・柔道整復師・アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長)


「テニス肘」は、ひじの腱鞘炎のこと。テニスをしない人にも急増中!

テニスをしないのになぜ?ひじの腱鞘炎「テニス肘」とは何か

ひじの腱鞘炎は、ひじの外側が痛むタイプと、ひじの内側が痛むタイプの二つの大別できます。
最近になって急激に増えているのは、ひじの外側が痛むタイプの腱鞘炎です。
この記事では、ひじの外側が痛むタイプの腱鞘炎を、「ひじの腱鞘炎」と呼ぶことにします。

ひじの腱鞘炎は、タオルを絞るような手の使い方や、ドライバーやドアノブを時計回りに回すような動きをすると(右手の場合)、ひじの外側から前腕(ひじと手首の間の部分)、指にかけて、広い範囲で痛みが生じます。
これは医学的には上腕骨外側上顆炎といいます。

ひじの関節は、上腕骨と前腕骨の二本の骨でできています。
上腕骨の外側の「上腕骨外側上顆」からは、ひじの関節をまたぎ、指に向かっていくつもの筋肉が延びています。
これらの筋肉に負担がかかることで起こるために、ひじの腱鞘炎を、上腕骨外側上顆炎と呼んでいるのです。

ひじの腱鞘炎にはもう一つ名前があり、「テニス肘」とも呼ばれています。
ひじの腱鞘炎を医療機関で診てもらうと、たいてい「テニス肘」と言われます。
テニスをしている人は「ああ、そうか」と納得するでしょうが、テニスをしない人は「なんでテニスをしないのに、テニス肘なの?」と疑問に思うでしょう。

上腕骨外側上顆炎もテニス肘も、同じひじの腱鞘炎ですが、上腕骨外側上顆炎というと、難しすぎて「ひじ」をイメージしにくいのかもしれません。
そこで、テニスが肘に負担をかけるのは誰でも想像できるので、「テニスプレーヤーに多い肘の腱鞘炎」といういう意味で、「テニス肘」の呼称を使っているのでしょう。

ひじから延びているいくつもの筋肉のうち、どの筋肉に負担がかかって腱鞘炎が起こっているのかは、人それぞれの手の使い方で違います。
例えば、人差し指に延びている筋肉に負担がかかっているケースもあれば、中指に延びている筋肉に負担がかかる使い方をしている人もいます。

ひじの腱鞘炎の原因となる筋肉は、七つあると言われています。
どの筋肉に負担がかかっているのかを見分けるテスト法がありますが、ここでは中指に延びている筋肉に負担がかかっている場合のテスト法と、自分でできる対策(セルフケア)の方法を紹介します。

ひじの腱鞘炎の原因は、ひじの使い過ぎだけではありません。実は、手首の使い過ぎとも関係しています。
前述したように、ひじからは指に向かっていくつもの筋肉が延びていて、先端の腱を通して指を動かしています。
そのとき、手首が上を向いた角度(伸展)が、腱や筋肉に負担をかけるのです。

テニス肘になりやすい人はビジネスマンやOL、主婦

ひじの腱鞘炎は、最近、特にビジネスマンに多く見られます。
パソコンのキーボードを打つときに、手首を上に曲げて打ったり、マウスを操作するときに、手首が曲がった状態を続けていたりすると、ひじから延びている筋肉や腱に大きな負担がかかります。

また、最近のビジネスマンの手提げカバンには、書類の他にノートパソコンが入っていることが少なくありません。
書類だけでも相当重いはずですが、そこにノートパソコンが加わり、さらにパソコンの2台持ちやタブレットを入れると、その重さは10kg近くになるはずです。
毎日、この重いカバンの上げ下ろしを何度も繰り返すうちに、ひじの腱鞘炎を発症します。
特に、カバンの持ち手を強くつかんで手首を上げる動きは、腱鞘炎に直結します。

別名「テニス肘」と呼ばれるひじの腱鞘炎ですが、テニスプレーヤーやスポーツ選手だけでなく、ビジネスマンやOL、インターネットをよく見る主婦など、パソコンを長時間使う人は誰でも発症する可能性があります。

さまざまな腱鞘炎のセルフケアを網羅した、高林孝光著『腱鞘炎は自分で治せる』(マキノ出版)

あなたのひじの痛みが「テニス肘」かどうかをチェックするテスト

ひじの腱鞘炎(テニス肘)の有無を調べるテストは、いくつかありますが、ここでは、まず「トムゼンテスト」を紹介します。
トムゼンテストで痛みがある場合は、次に、どの指に延びている筋肉に負担がかかっているのかを調べるテストがあります。
ここでは、中指に延びている筋肉に負担がかかっていることを調べる「中指伸展テスト」と、セルフケアの方法を紹介します。

トムゼンテストのやり方

中指伸展テストのやり方

マッサージのやり方とテーピングの巻き方

ひじの痛み「テニス肘」が、なかなか治らない理由

腱鞘炎で悩んでいる人の中には、何ヶ月も、あるいは一年以上、医療機関で腱鞘炎の治療を受けているにもかかわらず、痛みが取れなかったり、いったんは痛みが楽になっても、再発を繰り返したりしている人もいるでしょう。

実際、私の治療院には、「激痛で仕事や家事ができない」「痛みで夜も眠れない」「痛むようになって半年が経つ」など、我慢できない痛みで駆け込んでくる患者さんも少なくありません。

そんな人たちの話を聞いて驚くのは、きちんと医療機関へ行って治療をしてもらっている人が多いことです。
湿布をしたり、バンドやサポーターを処方されたりするのはもちろん、ステロイド(副腎皮質ホルモン)注射をしてもらっているにもかかわらず、症状が改善しないどころか、時間とともに悪化したというのです。

なぜ、医療機関で診てもらって腱鞘炎が治らないのでしょう。
理由はいくつか考えられますが、ここでは、バンドやサポーターの使い方が間違っているケースを紹介します。

エルボーバンド(サポーター)の巻き方が間違っている

セルフケアで多くの人が大きな間違いをしているのは、「エルボーバンド(サポーター)」の巻き方です。
エルボーバンドは、病院でも接骨院でも、ひじの腱鞘炎の患者さんには必ずといってよいほど処方される、ひじの固定用のバンドです。

私は、ひじの腱鞘炎が長引いているという患者さんには、必ず「エルボーバンドは使っていますか」と尋ねます。
私の問いに対し、ほとんどの人は、「使っています。今日も持ってきました」と答えます。
そこで「では、今ここでエルボーバンドを着けてみて下さい」とお願いすると、慣れた手つきで装着してくれます。

ところが、ほとんどの人は、エルボーバンドの着け方を間違えています。
たいていは、ひじを「伸ばした状態で」装着しているのです。

ひじを伸ばした状態では、手首からひじにかけての筋肉は太くなります。
しかし、その状態でエルボーバンドを装着すると、ひじを曲げたとき、手首からひじにかけての筋肉は細くなります(実際に片方の手で確かめてみて下さい)。つまり、エルボーバンドがゆるくなるのです。
これではエルボーバンドをする意味がありません。
エルボーバンドは、ひじを曲げた状態で装着するのが正解なのです。

高林孝光(アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長)
 1978年、東京都生まれ。東京柔道整復専門学校、中央医療学園専門学校卒業。2016年、車イスソフトボール日本代表チーフトレーナー。上肢のケガが最も多い球技スポーツであるバレーボールの同一大会で、異なるチームに帯同して全国2連覇した、日本初のスポーツトレーナー。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

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