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【おしっこトラブル】50代の5人に1人が悩む不快なチョイもれ「排尿後尿滴下」とは

【おしっこトラブル】50代の5人に1人が悩む不快なチョイもれ「排尿後尿滴下」とは

「排尿後に、陰茎をズボンにしまったら、タラーッと尿がもれてしまった」あなたはそういう経験がありませんか。50代の男性の5人に1人は悩んでいるという「排尿後尿滴下」はとても厄介です。この不快なチョイもれを防ぐ方法をご紹介しましょう。【解説】石井泰憲(石井クリニック・北浦和院長) 

50代男性の5人に1人が尿もれ!

「排尿後に、陰茎をズボンにしまったら、タラーッと尿がもれてしまった」あなたはそういう経験がありませんか。この排尿後のチョイもれをくり返すようになると、とても厄介です。

 こうした症状に悩む人は、排尿後、陰茎をよく振って、残っている尿を出そうとします。しかし何度振っても、尿はなかなか出てくれません。

 これは、「排尿後尿滴下」という症状です。なぜ、こうした症状が起こるのでしょうか。

男性のチョイもれを防ぐ方法

①会陰の突き上げ

私のクリニックにも尿のチョイもれで相談にくる患者さんはおおぜいいます。そうした皆さんに試してもらい、大変好評な方法を紹介しましょう。

 それが排尿後に行う、「会陰の突き上げ」です。

 排尿後にもれる尿は、左の図の尿道がカーブを描いている部分にたまっています。そこで、排尿後、会陰部(陰嚢と肛門の間)に人差し指と中指の先を当て、下から強めに突き上げてください。それを2~3回くり返しましょう。

 この刺激によって、たまっていた尿を外に押し出したり、膀胱に戻したりすることが可能になります。完全にその部位にたまっている尿をゼロにすることはできないにせよ、もれる量は大きく減りますから、悩みの解決に役立つはずです。

 まず、排尿のしくみを簡単に説明しましょう。男性が排尿するときには、それまでしぼんでいた尿道が広がり、膀胱から流れ出た尿がそこを通ります。排尿直後には、尿道はまだ広がったままで、尿道のたわんだ箇所に尿が残っているのです。

 通常は、すぐに尿道の周囲の筋肉が収縮し、尿道が元のようにしぼみます。そして、しぼんだ筋肉より先にある尿は排出され、後ろにある尿は膀胱に戻されるようになっています。

 この尿を戻す反応を「ミルクバック」といいます。しかし、尿道周囲の筋力が弱いと、このミルクバックが起こらず、尿道に尿が残ってしまうのです。このたまった尿がもれてくるのが、排尿後尿滴下です。

 この症状は、20代ではほとんど見られませんが、30代になると、10人に1人の割合で見られます。常時もれるわけではありませんが、尿道周囲の筋肉がもともと弱く、ときおりこの現象が起こってしまうのです。

 その後、加齢とともに、徐々に増え、50代になると、5人に1人くらいの割合になります。

 このチョイもれは、病気というほど重大な症状ではありません。しかし、ズボンが汚れ、シミとなったり、においがついたりすることもありますし、なにより、もれるのが不快です。会議の途中でトイレに立ったときに、尿がもれれば困ってしまうでしょう。

②便座で排尿する

 もう一つ、簡単な方法を紹介しておきましょう。

 それが、便座に座って排尿するという方法です。座ることによって、立っているときよりも、尿道が平たくつぶされます。すると、そもそも尿道にたまる尿の量自体を少なくすることができるのです。さらに、座った姿勢で、会陰の突き上げをやってもいいでしょう。このとき姿勢をやや前傾させ、お尻を持ち上げぎみにして会陰を突き上げると、尿の排出効果がより高くなります。

2つの方法でチョイもれを防ぐ

男性も骨盤底筋体操を行えばさらに効果大

 また、尿もれの予防・改善のために勧められるのが、「骨盤底筋体操」です。骨盤底筋とは、骨盤の底にある筋肉群で、排尿や排便に密接にかかわる筋肉です。これらの筋肉が弱ると、尿道を締める力が衰え、男性の場合も尿もれが起こりやすくなります。

 逆に、骨盤底筋体操で筋力を高めれば、チョイもれの予防・改善につながります。実際、私のクリニックの患者さんに試してもらっていますが、排尿後のチョイもれがなくなった人は少なくありません。

 男性にお勧めの骨盤底筋体操のやり方は、下の図解を参照してください。効果が現れるまで1~3ヵ月かかりますから、根気よく続けましょう。

男性の骨盤底筋体操のやり方

尿もれ対策を指導する石井先生

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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