全身状態を良くする野菜ジュース

全身の血流の悪さが目の不調の原因
「あきらめていたのに、治って驚きました!」
「視力が戻って感激です!」
当院では、こんな患者さんの声をよく聞きます。治すのが難しいとされる目の病気や、薬による治療がうまくいかずに進行してしまった症状が劇的に治る例が多いからです。
症例としては、網膜の中心にある黄斑という部分が変性して見えにくくなる「加齢黄斑変性」、糖尿病が悪化して起こる「糖尿病網膜症」、眼圧が上がって見える範囲が狭くなる「緑内障」などが改善されます。そのほかに網膜の重要な静脈に血栓(血液の塊)ができ、詰まって出血する「網膜中心静脈閉塞症」などもよくなります。
いずれも、最悪の場合は失明にいたる怖い病気です。そんな目の難病の数々が、なぜ当院では治るのか。それは「目だけでなく全身に着目した眼病治療」を提唱しているからです。
目の病気は、目だけが悪くて起こっているわけではありません。全身の血流や代謝が悪くなったり、活性酸素(体内で増えすぎると細胞を傷つけ老化の一因となる物質)が増えたりして起こるのです。
目は、毛細血管が多く走っているので、血流障害があると酸素不足に陥りやすい器官です。また、光を通すという特性上、活性酸素を生む紫外線の影響を受けやすい器官でもあります。
当院では、目の病気を生み出しているそうした大本の原因を見据え、全身状態をよくする指導をしています。これこそ目の病気を治す近道であり、最も確実な方法なのです。その指導の中心的な存在が、身近な素材で作る新鮮な野菜ジュースです(作り方は下図参照)。
野菜ジュースが、多くの目の病気に効果があるのは、三つの大きな理由があります。
一つめは、少食の助けになるということ。現代人の目の病気は、食べすぎで血流や代謝が悪くなって起こっているものがとても多いのです。野菜ジュースを飲み、少食にすると、それだけでも大きな効果があります。
二つ目は、腸の活動を活発にするということです。朝食代わりに野菜ジュースを飲むことで、昼食まで胃に固形物を入れなくて済みます。こうして空腹状態を作り出すと、腸の働きを活発にするモチリンというホルモンの分泌が盛んになります。
また、空腹は腸内に有害物を作り出す悪玉菌の働きを抑え、善玉菌を増やしてくれます。
ものを食べるから排泄が促されるというのは誤解で、本当は空腹の時間帯があるからこそ、スムーズな排泄が促されるのです。
体には、腸の働きが活発になると、脳の働きもよくなるという「腸脳相関」という関係があります。このことも、視力に深く関係します。
視力は、目から入った情報を解析する脳の働きによっても大きく変わるからです。たとえば、白内障で、水晶体の濁りが完全に取れなくても、脳の解析力が上がるとよく見えるようになってきます。
以上のことから、野菜ジュースで腸の働きを促進させると、脳も活性化して視力回復につながるわけです。
三つめの理由は、野菜に活性酸素を除去する抗酸化物質が豊富に含まれていることです。各種のポリフェノールやカロテノイド、ビタミンC・Eなどがそれに当たります。これらをジュースでとることは、動脈硬化を抑えてスムーズな血流を保つのに効果的です。特にビタミンCは、毛細血管の血流をよくするので、二重の意味で目によい作用をもたらします。
私は、朝食代わりに野菜ジュースを飲むとともに、甘いもの、高脂肪のもの、肉類、乳製品をとりすぎないことや、1日に1万3千歩歩くことなども指導しています。これらも合わせて心がけていただけば、目への効果はよりいっそう高まるでしょう。
薬でも治らなかった眼病が劇的に改善
実際にこのジュースを活用して、先に挙げた目の難病が、劇的に改善している例が多数あります。実例を挙げましょう。
●加齢黄斑変性・70代・女性
この患者さんは、左目に加齢黄斑変性が起こり、眼科で抗がん剤を処方されていました。それでも改善されますが、薬をやめると再発・進行するので一生飲み続けるしかありません。
この患者さんも、薬をやめては再発し、また薬を使うことをくり返すうち、黄斑の変性がひどくなり、視力は0・01まで落ちてしまいました。ところが、当院に来て、朝食代わりに野菜ジュースを飲み始めると、急速に改善していきました。
そして、当院の初診時にあった、黄斑部の出血と変性(症例1・治療前の写真の中央部分の白斑)が、約2ヵ月できれいに消えたのです。視力も0・8まで回復しました。
●糖尿病性網膜症・50代・女性
糖尿病網膜症は通常、レーザー手術で治療しますが、全身状態が変わらないままでは、再発をくり返します。この患者さんも、手術を受けましたが、症状が安定しなかったようです。
当院初診時には、写真(症例2・治療前)のようにひどい眼底出血がありました。写真で白くむらが見えています。これが出血部分です。
そこで、朝食代わりに野菜ジュースを飲んでもらったところ、1ヵ月後くらいから出血部分が減ってきました。4ヵ月後には、ほとんど出血のないきれいな眼底になったのです(治療後の写真)。右0・4、左0・1だった視力は、それぞれ1・2と0・6に回復しました。
ほかにも、緑内障で高くなっていた眼圧が、劇的に下がる例も多くみられます。例えば、30mmHg台という高い眼圧が(正常値は10〜21mmHg)、数ヵ月で1桁台に下がることもよくあります。さらに、視野が改善できる例も珍しくありません。
目の病気が改善した一例

野菜ジュースと適度な運動で手術を回避
野菜ジュースが効果を発揮するのは、ここまでに挙げた眼病に限りません。例えば、目のレンズに当たる水晶体が白く濁って視力が低下する白内障も、朝食代わりにこのジュースを飲むことで視力が向上する例が多々あります。白内障は、現在では手術で視力を取り戻せる病気ですが、できることなら手術を受けたくないと思うのであれば、ぜひ野菜ジュースを取り入れるとよいでしょう。
現代人の生活はあまりにも乱れ、それが生活習慣病の急増にもつながっています。野菜ジュースと適度な運動で生活習慣の改善に努めれば、体全体のみならず、目の病気も改善します。ぜひ実践してみてください。
目の病気を予防・改善する「野菜ジュース」の作り方

【材料】(コップ1杯分)※それぞれ1~2種類を選ぶ
●基本の野菜
コマツナ 1/8把
レタス 2~4枚
●お好みの野菜
キャベツ 1/8個 レンコン 40g
ニンジン 40g トマト 1個
リンゴ 1/2個 レモン 1個
セロリ 20g
●ジューサ―の場合

①材料をよく洗い、ジューサーの挿入口に入る大きさに切る。

②野菜と果物に種や芯があれば取り除く。

③野菜をジューサーに入れて搾る。皮のある野菜は付いたままでOK。
●ミキサーの場合

①材料をよく洗い、適当な大きさに切る。柔らかい野菜からミキサーに入れ、水100㎖程度を加えて粉砕する。

②軟らかい野菜を粉砕したら、硬い野菜を順次入れる。歯が回りにくければ、その都度少量の水を加えて粉砕していく。

③ミキサーで作ると繊維質が残るので、お好みでこしてもよい。
野菜ジュースの飲み方

朝ごはんの代わりにコップ1杯分を飲む。冷えが気になる場合は、野菜ジュースを飲む前にみそ汁やお茶(カフェインの入っていない柿茶)など温かい水分をとるとよい。
解説者のプロフィール

山口康三
自治医科大学医学部卒業。横浜市立病院等を経て、91年より現職。西洋医学と東洋医学の接点を求め、食事療法を中心とした統合医学の診察を行う。著書に『白内障・緑内障は少食でよくなる』(マキノ出版)など好評発売中。