MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【蒸しタオルの効果】目を温めれば老眼や近視が改善!

【蒸しタオルの効果】目を温めれば老眼や近視が改善!

寒い季節には、厚着をしたり、帽子や手袋や耳あてをしたりと防寒対策をされるでしょう。でも、「目」は、防寒対策のしようがありません。寒さだけでなく、パソコンやスマホの長時間使用などで目を酷使することも、冷えを招く一因です。対策として、手軽でお勧めなのは「蒸しタオル」です。【解説】石坂裕子(眼科医・内科医) 

目が冷えると全身の自律神経が乱れる

 寒い季節には、厚着をしたり、帽子や手袋や耳あてをしたりと防寒対策をされるでしょう。でも、「目」は、防寒対策のしようがありません。
 寒さだけでなく、パソコンやスマホの長時間使用などで目を酷使することも、冷えを招く一因です。

 目の周囲が冷えると、眼球を動かす筋肉が固くなり、血流が悪くなって、目に必要な酸素や栄養が不足します。筋肉の動きが悪いと当然、目の疲れも起こりやすくなりますし、見え方にも支障が生じます。

 実際、眼球の運動や瞳孔(黒目)の収縮を検査すると、それらの動きが悪い人は少なくありません。その原因の1つが、目の冷えなのです。

 また、目の周囲の皮膚はとても薄いので、血行が悪くて血液が滞っていると、目の下にクマが現れます。

 さらに、冷えは神経の緊張も招きます。目の動きには、外転神経、滑車神経、動眼神経という3つの神経がかかわっています。このうち動眼神経は、私たちの意志が関わって動く「運動神経」と、意志とは無関係に動く「副交感神経」を含んでいます。

 例えば、瞳孔の収縮は周囲の明るさに反応して自動的に行われますが、これは動眼神経の副交感神経が自動的にコントロールしています。また水晶体は、毛様体筋によって厚みを調整されることで、目のピントを合わせています。
この毛様体筋を動かしているのも、同じく副交感神経です。

 副交感神経は体をリラックスした状態に導く働きがありますが、目の周囲が冷えていると、副交感神経が活性化せず、ますます目の疲労や近視・老眼を招く可能性があります。

 さらに目の周辺だけでなく、広い範囲の自律神経のバランスが乱れて、筋肉の不要な緊張を招いたり、首や肩のこり、頭痛などの体の症状が現れたり、不眠やイライラなど精神的な症状にもつながりかねません。

蒸しタオルの心地よさを感じるのが大事

 目を酷使していたり、冬場の外出が多かったりする人は、意識的に目を温め、冷えを解消しましょう。
 手軽でお勧めなのは「蒸しタオル」です(図参照)。

 蒸しタオルを目に乗せると、血流がよくなり、筋肉がほぐれます。じんわり温かく、心地よく感じるでしょう。この「心地よさ」が重要です。小さなことですが、この快感が副交感神経を活性化させ、心身のリラックスや、疲労・痛み・ストレス・不安感の緩和につながるからです。

 目を温めれば、疲れ目やクマへの効果が期待できます。頭痛や肩こりなど、目の疲れからの不快症状の緩和にも有効でしょう。続ければ、近視や老眼の解消にもつながります。

 ただし、目はとてもデリケートな器官ですから、硬い物や温度が熱すぎる物を当てるのは厳禁です。それから、花粉症などアレルギー性疾患の症状や急性結膜炎など、目に炎症が起こっている場合には、絶対に温めてはいけません。目が充血していたり、まぶたが腫れていたりしたら、温めるのは避けてください。 

 目の冷え対策で、目と全身の健康を守りましょう。

蒸しタオルでじんわり目を温める方法

①水分を含ませてからよく絞ったタオルを、40℃程度に温める。
家庭用の電子レンジでの加熱なら1分程度。

②目を閉じ、蒸しタオルをまぶたの上からそっと乗せる。
5分程度かけて目の周囲を温め、心地よさを感じる。

蒸しタオルで目を温めると、全身の自律神経ともかかわる動眼神経が活性化!

解説者のプロフィール

石坂裕子
新小松アイクリニック院長。日本医師会認定産業医。日本人間ドッグ学会認定医。石川県出身。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学病院、済生会金沢病院、NTT西日本金沢病院などを経て、2017年3月より現職。『自律神経を整えて超健康になるCDブック』(マキノ出版)監修。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連記事
私は、60歳の今も左右の視力は1・0を保っています。これまでメガネの世話になったこともありません。老眼知らずの状態をキープしている秘密は、私が毎日行っているトレーニング「目のスクワット」にあるのです。毛様体筋をほぐす効果があります。【解説】本部千博(ほんべ眼科院長)
見たいものにピントを合わせる「目の調節力」は25歳を過ぎる頃からどんどん低下し、30代後半から近くが見えづらくなる老眼になってきます。目の疲れや調節力の低下を改善するためにお勧めなのが、目の周囲を温める「温熱療法」です。私は、温熱療法の効果を多くの実験で確認しています。【解説】高橋洋子(みたにアイクリニック院長)
現代人は遠くをあまり見なくなったせいで眼筋と呼ばれる目の筋肉が衰えています。食生活も乱れがちなので目の周りの血行もよくありません。これらが目の諸症状を引き起こすのです。一度身についた生活習慣を変えることは容易ではありません。そこでお勧めなのが目のエクササイズです。【解説】福辻鋭記(アスカ鍼灸治療院院長)
老眼や近視の患者さんに私がお勧めしているセルフケア「100円メガネ」視力回復法をご紹介します。100円メガネとは、100円ショップで売っている老眼鏡です。お子さんが行っても効果的で、「仮性近視」には特に効果を発揮するので、ぜひ役立ててください。【解説】平松類(彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長)
「深い呼吸をしていると目の働きがよくなって、眼精疲労やドライアイはもちろん、視力もよくなってくるんですよ」こう言うと、たいていのかたはびっくりされます。なぜ、深い呼吸である視力回復呼吸をすると、視力が上がるのでしょうか。この疑問を解くカギは、血流が握っています。【解説】原久子(原アカデミー代表・鍼灸師)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル