MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【納豆はアンチエイジング食】「見た目」も「遺伝子」も若返らせる成分

【納豆はアンチエイジング食】「見た目」も「遺伝子」も若返らせる成分"ポリアミン”の効果

「心が軽くなる」食べ物と聞いて、違和感を覚えるかもしれません。でも、食べ物で細胞が若返って体が軽くなれば、自然に心も若返って軽やかになります。問題は、科学的な裏付けを元に、どの食品にその可能性があるか。私たちが着目している食品が「納豆」です。【解説】早田邦康(自治医科大学大学院准教授)

納豆を食べると心が軽くなる?!

納豆のポリアミンが細胞を若返らせる

 「心が軽くなる」食べ物と聞いて、違和感を覚えるかもしれません。でも、食べ物で細胞が若返って体が軽くなれば、自然に心も若返って軽やかになります。

 問題は、科学的な裏付けを元に、どの食品にその可能性があるか。私たちが着目している食品が「納豆」です。

 納豆や大豆に健康効果が期待できるという研究結果は数多く存在します。では、納豆や大豆の中のどんな成分が、その原動力なのか。その疑問に対する有力な解答として、近年注目を集めているのが、納豆に多く含まれる「ポリアミン」という成分です。

 ポリアミンは私たちの体内でも合成される物質で、体に不可欠なものです。私たちは、1990年代の終わり頃にポリアミンとアンチエイジングの関係に気づき、その研究成果を報告してきました。

老化した遺伝子も若い人の状態に戻す

 ポリアミンの働きを理解するうえでのキーワードは、「細胞の若返り」です。老化や生活習慣病の原因は、私たちの体内で発生する「酸化ストレス」が引き起こす「さび」が原因と考えられています。

 この「酸化ストレス」を発生させるのは「炎症」です。つまり、生活習慣病を予防し老化を防ぐためには、出てしまった「酸化ストレス」という火の粉を消すより、「炎症」を防いで、火の粉が出ないようにするほうが合理的です。

 炎症は、リンパ球などの免疫細胞が引き起こします。体内に侵入した細菌などの異物を免疫細胞が攻撃した結果、炎症が起きるのです。例えば、ニキビが赤く腫れ上がって痛みを感じる状態です。

 生活習慣病の原因となる慢性炎症も免疫細胞が引き起こしますが、慢性炎症はなんの症状もなく、徐々に体の中で起きます。そして、この慢性炎症は、年を取るごとに起きやすくなるのです。なぜなら、免疫細胞が年を取るからです。

 若い人の免疫細胞はパワーがあるぶん、ふだんは余裕があり、多少のことには反応しません。しかし、老人の免疫細胞は弱いので、いつも警戒状態で、ちょっとした異常にも反応してしまうのです。その結果生じる慢性炎症が生活習慣病の原因になるのです。

 ポリアミンは免疫細胞を力強い若い人の状態にして、慢性炎症が起きにくい体を作ってくれます。

 さらに、最新の私たちの研究では、ポリアミンが遺伝子をも若い人の状態にすることがわかりました。年を取ると徐々に遺伝子も年を取ります。それは、写真が古くなると「セピア色になる」ことに似ています。そして、遺伝子がセピア色になることが老化や生活習慣病の原因となるのです。

ポリアミンを多く食べたマウスは、年を取っても元気で長生き

 ポリアミンによるアンチエイジング効果は、上にある2枚のマウスの写真で一目瞭然です。ポリアミンを多く食べたマウスは、毛並みもよく、年を取っても元気で長生きだったのです(図1のC)。”見た目”と”寿命”という2つの観点から、アンチエイジング効果が明らかだと言えるでしょう。

 一般的に、豆類には高濃度のポリアミンが含まれています。代表格は大豆です。また、発酵のように微生物が増える過程で、ポリアミンはたくさん作られます。

 図2は、成人男子が毎日1パック程度の納豆を食べ続けた結果、ポリアミンの血中濃度が上がることを明らかにしたものです。高ポリアミン食は、納豆のほかにもありますが、実際に食べることで、体内のポリアミンの濃度が上がることを確認できているのは、今のところ納豆だけです。

 年を取ると、ポリアミンは体内で作られにくくなります。慢性炎症を起こしやすい免疫細胞になり、遺伝子はセピア色になります。
 でも、だいじょうぶ。ポリアミンは食べ物から補給できることが実証されているのです。
 日頃の食生活の中で、納豆などの高ポリアミン食(日本食)を食べる習慣をつけること。それによって、老化や病気への不安や心配が少しでも緩和されれば、それだけ心も軽くなると、言えるかも知れません。

解説者のプロフィール

早田邦康
1980年、自治医科大学医学部卒業後、9年間の離島へき地勤務。その後、自治医科大学附属さいたま医療センター勤務などを経て、現在は自治医科大学大学院准教授。ポリアミンと免疫の研究を行う。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連するキーワード
関連記事
青など寒色系の色で体が包まれるのをイメージしてください。ひんやり寒くなる感じがしませんか。一方、赤やオレンジなど暖色系の色は、体が温まる感じがするはずです。この色の作用を呼吸法と組み合わせれば、心や体のケアに役立つ可能性はじゅうぶんあると私は考えています。【解説】春田博之(芦屋こころとからだのクリニック院長)
始めて1カ月ぐらいたったころから「やせた?」と聞かれたり「キレイになったね」と言われたりするようになりました。私は嫌な感情が出てくると1日に何度もピンク呼吸をするようにしました。何事も「まぁ、だいじょうぶか!」と気楽に考えられるようになり、仕事や人間関係で悩む回数が減りました。【体験談】夏陽りんこ(声優・32歳)
私は生地屋でピンクの布を買い求め、ヨガ教室に持参し生徒に「寝る前にこの色をイメージして呼吸をしてみて」とお願いしたのです。2週間後、生徒たちと再会すると、何名かの雰囲気が変わったことに気づきました。一言で言えば、女性らしさが増したような感じなのです。【解説】小池能里子(ビビッド・エイジング研究家)
たっぷりの食物繊維をとっている元気なお年寄りたちの腸内細菌では、ビフィズス菌や酪酸産生菌といった「長寿菌」が、全体の60%前後を占めていました。南大東島の101歳のおじいさんに至っては、全体の80%が長寿菌というとんでもない数値でした。【解説・監修】辨野義己(理化学研究所特別招聘研究員・農学博士)
アーユルヴェーダから見ると、「干しブドウ酢」は、それぞれの食品のよさが組み合わさって力を倍増させる、まさに最高の組み合わせです。干しブドウとリンゴ酢、ハチミツが組み合わさることにより、どんな体質の人にも合う食品になるからです。【解説】西川眞知子(日本ナチュラルヒーリングセンター代表)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル