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抗生物質や降圧剤、タミフルなどの薬は飲まないほうが良い!

抗生物質や降圧剤、タミフルなどの薬は飲まないほうが良い!

日本の医療は薬を使い過ぎ!抗インフルエンザ薬のタミフルは全生産量の8割を、降圧剤は販売総額の5割を、日本で消費しています。なぜ、日本人はこんなに薬を使うのでしょうか。そこには、日本特有の医療システムがあります。【解説者】星旦二(首都大学東京名誉教授・放送大学客員教授)

降圧剤は販売総額の5割を日本で消費!

日本人ほど、薬好きの国民はいません。
1年間に使う薬剤費は米国に次いで多く、世界第2位(2014年)です。

抗インフルエンザ薬のタミフルは全生産量の8割を、降圧剤は販売総額の5割を、日本で消費しています。
なぜ、日本人はこんなに薬を使うのでしょうか。

そこには、日本特有の医療システムがあります。
日本では、医療機関に支払う費用は「出来高払い制」です。

したがって、医療行為を行えば行うほど、薬を処方すれば処方するほど、医師がもうかるしくみになっています。
一方、先進国の多くは、「成功報酬制」です。

患者が健康になるほど収入が増えるので、医師は患者を治そうと、病気にならないようにと、努力します。
なかでも、イギリスの医療制度は理想的です。

カゼに抗生物質を出すのはヤブ医者

イギリスの開業医(総合診療医)は、市民の登録制で、登録人数に応じて収入が決まります。
登録人数が多いほど収入が増えますから、医師は患者が病気にならないように、徹底して病気の予防を行います。

万一、登録家族が重大な病気になったら、その医療費は開業医が支払い、かつ、医師への信頼は落ちて登録家族を失うことにもつながります。
このように、成功報酬制は患者第一の制度ですが、日本の出来高払い制は医師に都合のよい制度で、患者はいつまでも治らないほうがいいのです。

こうした制度のもとでは、患者は処方された薬を安易に受け入れるべきではありません。
全部飲んでいたら、病院に殺されかねないのです。

病院で処方する危険な薬の一つに、抗生物質があります。
ヒトの免疫の6~7割は腸が担っており、腸内細菌が豊富なほど健康であることがわかっています。

しかし、抗生物質は、その大事な腸内細菌を殺し、免疫機能を低下させてしまうのです。
日本は抗生物質を乱用し過ぎています。

抗生物質が全く効かないカゼにも、医師の9割が処方しています。
その結果として起こったのが、大量の薬剤耐性菌の発生です。

今まで抗生物質で簡単に治っていた病気が治らなくなり、どんな抗生物質も効かない多剤耐性菌が生まれています。
日本は、そうした菌を世界中にばらまいているのです。

抗生物質は、基本的にはゼロにしなくてはいけません。
それには、国の対策だけでなく、患者の意思決定も必要です。

「カゼに抗生物質を出すのはヤブ医者」という情報が、ネットを通じて若い母親たちの間で共有されました。
それを知った多くの小児科医は、カゼに抗生物質を処方しなくなったそうです。

このように、患者の選択によって医療を変えることもできるのです。

高血圧の薬(降圧剤)で無理に血圧を下げると、認知症に似た症状を引き起こす

もう一つ、私の身近にあった例を紹介しましょう。
私の姉の嫁ぎ先の姑は、過去30年以上、実家の内科医から8種類の薬を処方されていました。

私は、「狭心症の薬以外は、いらないのではないか」といい続けてきましたが、姉の姑は薬を飲み続け、その間これといった病気の改善はありませんでした。
7年前、その姑が体調をくずして食事がとれなくなり、薬も飲めなくなりました。

幸い体調は回復し、それ以降は、薬をいっさい飲まなくなりました。
しかし、そのおかげでとても元気になり、まもなく100歳を迎えようとしています。

このように、薬をやめて健康になる例はたくさんあります。

典型的なのが、高血圧の薬です。
高齢者が降圧剤で無理やり血圧を下げると、脳の血液循環がゆっくりになって、「擬似性認知症」になることがあります。

要するに、認知症とよく似た症状を引き起こすことになるのです。
擬似性認知症は、降圧剤をやめれば治ります。

しかし、降圧剤をやめず、認知症の薬まで飲まされると、症状がこじれるケースが少なくありません。まさに、薬が病気を作るのです。

インフルエンザのワクチン接種は必要ない

冬になると大騒ぎするインフルエンザも、ワクチン接種は必要ありません。
インフルエンザウイルスに感染しても、ほとんどの人は発病しないのです。

わざわざワクチンで抗体を作らなくても、自然感染で抗体ができれば、次に同じウイルスに感染することはありません。
ワクチンを使えば、ウイルスはますます強毒化します。

体力のない子供やお年寄りは、楽しい食卓を囲み、十分な栄養をとって免疫力を落とさないようにするのが、最も有効なインフルエンザ対策なのです。

私たちが行った調査では、病院のない山奥(標高の高い地域)が最も平均寿命の長いことがわかりました。
病気の根本的な予防の一つは、住まいや環境などです。
豊かな自然と汚染されていない水や空気、食品が、健康にはなによりも必要です。

また、温度差のない住宅を整えれば、脳血管障害などによる死亡を大幅に減らせます。
の断熱性を高めるには、窓にダンボールを当てたり、カーテンの生地を厚手に替えたりするといいでしょう。

もう一つ大事なことは、口の中のケアです。
歯が残っていておいしいものを食べられる人は長生きです。

口内の細菌は、全身の病気とつながりのあることも指摘されています。
長生きできて健康寿命を延ばすには、病院や薬に頼るのではなく、住まいや環境、食、口内のケアなどを見直し、根本的な予防を行いましょう。

そして、日々の暮らしを大切にし、前向きに生きることです。

解説者のプロフィール

星旦二
1950年、福島県生まれ。福島県立医科大学を卒業し、東京大学で医学博士号を取得。東京都衛生局、厚生省国立公衆衛生院、厚生省大臣官房医系技官併任、ロンドン大学大学院留学を経て現職。著書に『元気で長生きな人に共通する生活習慣29』(ワニブックス)など。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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