手首、足首、首が非常にかたくて動きが悪い!
高血圧で悩んでいるかたの多くに、共通して見られる特徴があります。
それは、「くび」のつくところが、とてもかたい点です。
高血圧の人は、手首、足首、首そのものが非常にかたくなっており、動きが悪いのです。
これは、どういうことを意味しているのでしょうか。
まず、手首、足首がかたいということは、手首や足首から先の血行が悪いということです。
つまり、末梢血管の血流が悪いのです。
心臓は、その血流の悪くなっている末梢にも血液を送り届けようとします。
流れの悪いところに血液を届けるためには、心臓は余分に圧を高めなければなりません。
結果として、血圧が上がることになります。
また、手首や足首がかたい人は、必ずといってよいほど、首もこっています。
首には、脳へ通じる血管が通っていることはいうまでもありません。
脳は、大量の酸素を必要とする器官ですから、常に多量の血液が脳へと送られています。
首がこり、首の筋肉がかたくなると、首を走る血管も圧迫されます。
すると、その圧迫に抗して、心臓は圧を高め、脳へ血液を送ろうとするので、血圧が上がってしまうのです。
加えて、首がこると、首の周辺を走行している自律神経にも悪影響が及びます。
自律神経の働きが乱れると、血圧が上がった状態が続いてしまう
自律神経とは、私たちの意志とは無関係に働き、内臓や血管をコントロールしている神経です。
自律神経の働きが乱れれば、これも、血圧を上げる要因となります。
自律神経には、昼間に優位となって活動を支える交感神経と、夜間に優位となって体をリラックスさせる副交感神経があります。
首がひどくこるようなストレスがかかった状態では、交感神経が優位となっています。
この状態では、心拍数が上がり、血管が収縮して血圧は上昇します。
通常、交感神経と副交感神経がバランスを取り合って働いているため、体調は良好に維持されています。
しかし、自律神経の働きが乱れると、交感神経優位の状態を解消できず、血圧が上がった状態が続いてしまうのです。
ホットタオルを使った首の温湿布のやり方
そこで、皆さんにぜひ試していただきたいのが「首を温める」ことです。
入浴して首を温めてもいいのですが、特にお勧めしたいのは、ホットタオルによる首の温湿布です。
やり方を説明しましょう。
【1】水で濡らしたタオルを電子レンジに30秒~1分ほどかけて、ホットタオルを作る。 ※ヤケドしないように注意
【2】ホットタオルを首の後ろに当てる。
【3】タオルが冷えるまで当てておく。
【4】タオルが冷えたら、[1]に戻り、[1]~[3]をくり返す。
できれば、[1]~[3]を3回ほどくり返すといいでしょう。
時間がなければ、1回でもかまいません。

温→冷をくり返すことで刺激がより深くなる!
このホットタオルによる刺激は、入浴後、寝る前にできるだけリラックスした状態で行うことをお勧めします。
首に当てたタオルは、ゆっくり冷えていきます。
冷えたら、タオルを再度加熱し、また首を温めます。
こうして、「温」→「冷」→「温」をくり返して温度差によるメリハリをつけるのがいいのです。
これによって、こった首の筋肉に、より深い温刺激を与えることができます。
それが、首の血流、ひいては、全身の血流をよくすることにつながります。
首がほぐれると、全身の血行もよくなり、高血圧にいい影響が現れてきます。
自律神経の乱れも整ってくるでしょう。
東洋医学的には、高血圧は、一種の生命エネルギーである「気」が頭に上った状態と考えられています。
昔から、心身の健康な状態を表す言葉として、「頭寒足熱」がありますが、高血圧の場合、気が頭に上り、「頭熱足寒」の状態になっています。
高血圧を改善するためには、頭に上った気を下げなければなりません。
この頭に上った気を下げるのにも、首の後ろを温めることが有効なのです。
ホットタオルは気軽にできる高血圧解消法
私の治療院にやってきた高血圧症の男性(60代)は、最大血圧が180mmHg程度あり、最小血圧も100mmHgを超えていました。
診察してみると、やはり、首、手首、足首が大変かたくなっていました。
しかも、このかたは神経質なところがあり、血圧を毎日測って、その結果に一喜一憂していたのです。
そこで、私は、血圧の計測を1週間に1回だけにしてもらいました。
首にホットタオルを当てるセルフケアで首のコリをほぐしたところ、最大血圧は、スルスルと下がり、150mmHgを切るまでに改善しました。
このように、首のコリと血圧は、非常に密接に関連しています。
ホットタオルによる首への刺激は、簡単にできて、とても心地のよい高血圧解消法です。
早速、今晩から試してみてください。