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脳の活性化に「親指」を動かすとよい!認知症を予防し前向きになる効果

脳の活性化に「親指」を動かすとよい!認知症を予防し前向きになる効果

親指刺激を行っているうちに、手の動きと脳の働きが同時によくなり、薬の管理がうまくできるようになったというお年寄りもいます。認知症に関する効果だけでなく、肩こりや冷えが軽減した、姿勢がよくなったという人も多いのです。【解説】長谷川嘉哉(認知症専門医)

解説者のプロフィール

長谷川嘉哉(はせがわ・よしや)

名古屋市立大学医学部卒業、医学博士。
毎月1000人の認知症患者を診療する、日本有数の認知症専門医。
2000年には、認知症専門外来および在宅医療のためのクリニックを岐阜県土岐市に開業。
開業以来、3万件以上の訪問診療、400件以上の在宅看取りを実践している。
著書に『親ゆびを刺激すると脳がたちまち若返りだす!』(サンマーク出版刊)など。

指先の動きと脳の機能には、深い関係がある

私は、小学校高学年から中学時代、認知症を患った祖父と同居していました。
多感な時期のその経験は、私に大きな影響を与えました。

その影響から、私は医師を目指し、認知症を診る神経内科医になりました。
認知症専門医となって開業した後は、在宅医療やデイサービスなど、患者さんと家族本位の介護事業に取り組んできたのです。

その中で皆さんにお勧めしているのが、私の考案した「手の親指刺激」です。
親指を動かして刺激するごく簡単な方法ですが、脳の活性化に大きな効果を発揮します。

認知症の予防や悪化防止、改善にも役立ち、多くの人に喜ばれています。
手の親指刺激を考案したきっかけも、実は祖父にまつわる思い出でした。

祖父の姿を思い出すにつけ、認知症の進行とともに、指の動きが悪くなっていたことに気付いたのです
実際に、医療現場で作業療法(日常生活動作の訓練)を行う患者さんを見ていても、指先の動きと脳の機能には、深い関係があることがわかります。

手の親指は意欲の象徴

カナダの脳神経外科医、ワイルダー・ペンフィールドが描いた「ホムンクルスの図」というものがあります。

脳には、動作を司る運動野と感覚を司る感覚野があり、それぞれ脳の一定の領域と身体各部がつながっています。

その比率を身体各部の大きさで表したのが、ホムンクルス(ラテン語でこびとの意)の図です。
この図では、手が異様に大きくなっています。

体の中で、手は小さい部分なのに、脳の3分の1近い領域が、手の動きや感覚に使われているのです。
特に多くを占めるのが親指です。

それだけ手の指、なかでも親指を動かすことが、脳に与えるインパクトも強いことになります。
手の親指は、指の中でも特殊な存在です。

物をつかむ、つまむといった動作を思い浮かべるとわかるように、親指は他の4本の指と向かい合わせることができ、それによってさまざまな手の動きや細かい動作が可能になります。
これを、医学的には「拇指対立運動」といいます。

こうした親指の特性を生かして行う動作は、筆記用具を使って字を書く、はしやフォークを持って食べる、ドアノブをつかんでひねり、外へ出るなど、どれも意欲を具体化する動作です。
つまり、手の親指は意欲の象徴でもあるのです。

脳の運動野、感覚野、 前頭前野の血流量が増加する

そこで、手の親指をしっかり動かし、脳機能を維持・回復させつつ、意欲も高める方法として考案したのが、手の親指刺激です。
全部で9種類ある刺激法の中でも、特に簡単で効果が高いのが、基本の3種類です。

親指刺激を行ったときの脳の血流量を調べたところ、脳の運動野、感覚野、さらに意欲の源とされる前頭前野の血流量が、増加することが証明されました(グラフ参照)。
これは、親指刺激により、脳の働きが活性化されることを証明しています。

実際に、日ごろの習慣として親指刺激を行って、脳の活性化や認知症の予防・改善に役立てている人も多くいます。

【症例紹介】前向きになり元気が出てきた83歳女性のケース

一例として、最近経験した83歳の女性のケースをご紹介しましょう。
このかたは、息子さんたちが独立し、ご主人に先立たれて一人暮らしとなり、料理をする意欲が急速に失われてきました。

こういう変化が認知症の入口になることが多いので、注意が必要です。
ところが、週1回、私たちが開催している親指刺激を行う健康体操に通われ、ご自宅でも、気付いたときに親指刺激を行っていたところ、料理をする意欲が高まってきました。

新しいレシピにも挑戦し、それを息子さんたちにごちそうするようにもなりました。
料理の評判がよかったことから、ますますやる気を出すなど、よい循環になってきています。

親指刺激を始めて以来、周囲の人から「明るく元気になった」とも言われているそうです。
親指刺激を行っているうちに、手の動きと脳の働きが同時によくなり、薬の管理がうまくできるようになったというお年寄りもいます。

認知症に関する効果だけでなく、肩こりや冷えが軽減した、姿勢がよくなったという人も多いのです。
なお、手の親指にかかわる研究結果と親指刺激をわかりやすく紹介した拙著、『親ゆびを刺激すると脳がたちまち若返りだす!』(サンマーク出版刊)は、おかげさまで多くの人にお読みいただき、11万部を超えるベストセラーになっています。

お年寄りに限らず、若い人やお子さんが行っても、脳の活性化に役立つので、ぜひご家族でやってみてください。
それと同時に、普段、手の親指をどのように使っているかを意識すると、より効果的でしょう。

脳の血流量が増える!「手の親指刺激」のやり方

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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