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鎮痛剤が効かない!原因は神経の誤作動 痛みを取る「耳さすり」のやり方

鎮痛剤が効かない!原因は神経の誤作動 痛みを取る「耳さすり」のやり方

私のクリニックには1日に100人以上の患者さんがいらっしゃいます。患者さんの中には、「消炎鎮痛剤を飲んでも痛みが引かない」「手術を受けたのに痛みがずっと続いている」と訴える人が少なくありません。骨や筋肉の器質的な異常や炎症ではなく、神経が誤作動を起こしている場合が多いのです。【解説】小田博(おだ整形外科クリニック院長)

解説者のプロフィール

小田博(おだ・ひろし)
●おだ整形外科クリニック
東京都板橋区大山西町14-2
TEL 03-3973-5007
http://www.odaseikei.com/

おだ整形外科クリニック院長。
1995年、日本大学医学部卒業。
日本大学医学部附属板橋病院、駿河台日大病院(現・日本大学病院)、公立阿伎留医療センター、東松山市市民病院、春日部市立医療センターを経て、おだ整形外科クリニックを開院。
VDT症候群に悩む患者のために、耳の裏を刺激する健康法を考案し、耳かけ式の磁気グッズ「EARHOOK」を開発。
著書に『1日10分押すだけ疲れ・痛みがスッと消える「耳のツボ」健康法』(幻冬舎)、監修書に『あきらめていた肩こり・首痛が消える! 疲れとりイヤーフック』(宝島社)がある。

慢性痛の原因の多くは患部ではなく神経にある

私のクリニックには、1日に100人以上の患者さんがいらっしゃいます。
患者さんの中には、
「消炎鎮痛剤を飲んでも痛みが引かない」
「手術を受けたのに痛みがずっと続いている」と訴える人が少なくありません。

正直なところ、開業する前、
大学病院で「難しく高度」な外科手術に明け暮れていたころには、
これほど慢性的な関節の痛みやしびれ、こり、疲労感に悩まされている人が多いとは思っていませんでした。

実は、こうした慢性的な痛みは、骨や筋肉の器質的な異常や炎症ではなく、
神経が誤作動を起こして、生じている場合が多いのです。

神経は、外界や体内からのさまざまな情報を脳と脊髄に届けると同時に、
脳と脊髄からの指令を体中の内臓や筋肉などに伝えて働きを制御しています。

そのため神経にトラブルが起こると、体に傷がないのに痛みを感じたり、
痛みを感じる閾値(境界値)が下がって、ちょっとした刺激を激烈に感知してしまったりします。

こうした神経の誤作動が引き起こす症状に高い効果を上げているのが
「耳の裏さすり」です。

7年ほど前から患者さんに耳の裏さすりを指導して、
首・肩のこりや五十肩、腰痛、ひざ痛などの関節痛をはじめ、
耳鳴りやめまい、頭痛、目のかすみや疲れ、ドライアイ、
さらには便通の改善やダイエットなどに効果を上げてきました。

耳の裏側、つまり耳たぶの下から後頭部の髪の生えぎわにかけての範囲は、
ほんのわずかなスペースにもかかわらず、重要な筋肉や血管、神経が集中して通る、特殊な場所なのです。

頸動脈や頸静脈という脳へ血液を運ぶ重要な血管が頭蓋内に入ろうとする場所であり、
頭を支える胸鎖乳突筋(首の両側にある筋肉)や僧帽筋(背中の表層の筋肉)といった筋肉の開始部でもあります。

耳の裏は神経の通り道

耳の裏は、神経の通り道としても重要なポイントです。

脊髄を通らず、脳から直接出る「脳神経」は左右12対。
そのうちの
①眼球の動きをつかさどり、眼精疲労と関係が深い動眼神経、
②顔の筋肉運動をつかさどり、顔の引き締めに関係する顔面神経、
③主として胸腹部の内臓を支配し、体調全般と関係する迷走神経、
④胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配し、肩こりに深く関係する副神経

の4対が、耳の裏を通っています。

これら4対の神経は、大脳・小脳と脊髄の間にある脳幹につながっています。

脳幹は、神経伝達の中継点であり、
意思とは無関係に血流や内臓機能など体のさまざまな働きをコントロールする自律神経の中枢でもあります。

また、「幸せホルモン」とも呼ばれる脳内ホルモンであるセロトニンの分泌を調節しているのも脳幹です。
セロトニンは、痛みの感知を抑制して、痛みを和らげたり、
痛みに耐えやすくしたりする働きがあります。

刺激の過剰で「神経の誤作動」が起こっている

脳幹の内部は都心部の道路のように、神経が複雑に入り交じっています。
1本の道路で事故が起きただけでも、周辺の道路でも次々と混乱が起きるのと同様、ある神経が過剰に働いてトラブルが起こると、ほかの神経にも悪影響が及びます。

現代人は、スマートフォンやパソコンなどで目を酷使しがちです。
加えて、人間関係でのストレスもたくさん受けています。

刺激過剰で神経の負担が大きい状態なのです。
その結果、脳幹に出入りする複数の神経が興奮状態になって誤作動を起こし、軽い刺激でも激痛を覚えたり、関節や筋肉に異常がなくてもしびれたりしやすくなっています。

そのほか、頭痛や耳鳴りなども、神経の誤作動で起こっている場合が多々あります。
このような神経の誤作動を解消するには、脳幹に出入りする神経の交通整理が必要です。

耳の裏への刺激が神経の「交通整理」を行う

そこで効果を発揮するのが「耳の裏さすり」です。

さするという刺激は、血液やリンパの循環を促進するだけでなく、
傷ついた神経回路の修復を促すのに効果的だという研究報告があります。

実は、先ほど挙げた四つの脳神経が通る道すじの中で、
皮膚表面のいちばん近くを通り、密集しているのが耳の裏です。

耳の裏は、いわば脳神経のジャンクション(合流点)ですから、
ここを軽く刺激するだけで、効率よく脳幹に働きかけて、正常な状態に戻すことができます。

脳幹で作られるセロトニンの分泌も促されます。
同時に、血流も促進されますし、筋肉をゆるめるのにも役立ちます。

その結果、原因が特定できないような慢性的な痛みが抑制されたり、
さまざまな症状が改善するようになるのです。

さする刺激が傷ついた神経回路の修復を促す

耳の後ろにある乳様突起と呼ばれる骨の出っ張りを中心として、
耳たぶの裏側から髪の生えぎわまでを、
人さし指、中指、薬指の3本で、30秒ほど斜めに軽くさすりましょう。

次に、人さし指と中指ですーっと滑らせるように、
耳の裏側上部の付け根から耳たぶの付け根までを上下に10回さすります。

耳の裏がホワッと温かく、気持ちよくなるまでくり返すとよいでしょう。

神経は体表近くを通っていますから、
耳の裏さすりはごく軽い力で優しく行うのが鉄則です。

強過ぎる刺激は、逆効果になりかねないので、注意してください。

食後30分と飲酒後を避ければ、いつ・何回行っても構いません。

ただし、傷や皮膚の異常が耳の裏にあるときは、さするのを避けましょう。

体の疲れ・痛みがスーッと消える「耳の裏さすり」のやり方

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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