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朝の鼻水や鼻詰まり、アレルギー性鼻炎を解消する呼吸法

朝の鼻水や鼻詰まり、アレルギー性鼻炎を解消する呼吸法

おじぎ呼吸は、首の周辺の筋肉を緩めると同時に、首を引き上げる姿勢を取ることで、交感神経を強く刺激します。自律神経のスイッチをスムーズに切り替えることで、朝の花粉症、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、アレルギー性鼻炎の症状を改善できるのです。【解説者】石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長)

鼻炎は自律神経が乱れているときに発症するもの

生活環境の変化や食生活の欧風化により、近年、アレルギー性鼻炎になる人が非常に増えています。
アレルギー性鼻炎の主な原因は、花粉、ダニを含むハウスダスト、カビなどです。

ただのカゼ症状と思っているあなたの鼻水や鼻づまりも、実は、アレルギー性鼻炎かもしれません。
たかが鼻水とはいえ、ひどいコンディションが続けば、日常生活にも支障が生じます。

アレルギー性鼻炎で困ったときに、ぜひ試してほしいのが、今回ご紹介する「おじぎ呼吸」です。
おじぎ呼吸は、文字どおり、おじぎをしながら呼吸をするものです(詳しいやり方はページ下部『おじぎ呼吸のやり方』参照)。

簡単で、即効性があります。
では、なぜ、このおじぎ呼吸が、アレルギー性鼻炎に有効なのでしょうか。

その作用メカニズムのカギとなるのが、自律神経です。
自律神経は、私たちの意志とは無関係に働き、内臓や血管などをコントロールしています。

自律神経には、交感神経と副交感神経という二つの系統があります。
交感神経は、主に昼間、活動しているときに活発に働きます。

緊張したり、興奮したり、危険を感じたりといったときは、交感神経優位の状態です。
呼吸は速くなり、血圧が上昇し血管は収縮します。

一方、副交感神経は、主に就寝時に働きます。
リラックスしているときは、副交感神経が優位になっています。

呼吸はゆっくりになり、血圧が下がり、血管は拡張します。
交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで、体の諸機能は円滑に働くことができます。

しかし、アレルギー性鼻炎の症状が出ているときは、このバランスが、くずれてしまっているのです。

強い刺激で交感神経を 優位にすることが肝心

例えば、アレルギー性鼻炎の場合、強烈な症状が朝一番に起こることが多く、このことを指す「モーニングアタック」という呼び方があるほどです。
なぜ起き抜けに激しい症状に見舞われるのでしょうか。

健常な場合、目覚めると同時に、自律神経が、副交感神経優位から、交感神経優位へと移行します。
それにつれ、体が活動モードに切り替わります。

ところが、アレルギー性鼻炎の人は、この切り替えがうまくいかず、副交感神経優位が続きます。
血管を収縮させる交感神経の働きが抑えられ、鼻の粘膜の血管は広がって膨張。

鼻づまりの状態が引き起こされるのです。
その膨張した血管から水分が漏れ、鼻水が流れます。

つまり、鼻水・鼻づまりの解消には、交感神経を優位にすることが肝心なのです。
これは朝に限った話ではありません。

おじぎ呼吸は、首の周辺の筋肉を緩めると同時に、首を引き上げる姿勢を取ることで、交感神経を強く刺激します。
自律神経のスイッチをスムーズに切り替えることで、アレルギー性鼻炎の症状を改善できるのです。

なお、腰の後ろで両手を組めない人は、手首を握ってもOKです。
また、手を組むのはできても腕を高く伸ばせないという人は、左右の肩甲骨をしっかり寄せて、頭を上げましょう。

これから花粉症の季節です。
つらい症状の軽減に、ぜひおじぎ呼吸を活用してください。

おじぎ呼吸のやり方

解説者のプロフィール

石井正則
東京慈恵会医科大学大学院修了。
1987年に東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科医長に就任。
2000年より、同大学准教授。
現在、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。
近著に、『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』(マキノ出版)がある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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